俳優で演出家の野田秀樹(52)が、歌舞伎座の「八月納涼歌舞伎」で演出を手掛けることが21日、分かった。ヴェルディ作のオペラ「アイーダ」を題材にした「野田版

 愛陀姫」で、時代設定を古代エジプトから日本の戦国時代に置き換える。敵対する2つの国、尾張と美濃の争いと、政略結婚をめぐる男女の愛憎を描く。

 主役になる、戦いに敗れた尾張の愛陀姫を演じるのは中村七之助(25)。その恋敵で、勝利した美濃の姫・濃姫役が中村勘三郎(52)。親子で恋敵を演じるのも見どころ。2人の姫に挟まれる美濃軍の木村駄目助座衛門を中村橋之助(42)が演じる。

 野田作・演出による初の歌舞伎座公演は01年の「野田版

 研辰の討たれ」。03年には「野田版

 鼠小僧」を上演しており、今回が3作目。前2作は野田の持ち味である、せりふの応酬を中心にした「せりふ劇」。だが、今回は題材のオペラの特色を生かして音楽性を強調。従来の野田作とは趣の異なる作品に仕上げるという。

 「八月納涼歌舞伎」は90年にスタート。93年から3部制にして、上演時間を短く観劇料も値下げして、歌舞伎ファンのすそ野を広げている。