尿の薬物反応は2週間以内で消えてしまうが、毛髪内では最長数年間残るとされ、第2の鑑定手段として使用される。毛髪を毛根部から数センチの間隔で分割。芯に残る薬物の分布を調べると、使用歴が分かる。毛髪は1カ月に1センチ程度伸びる。数回程度の使用では、覚せい剤を検出することは難しく、乱用者のみが検出可能という説もある。毛髪に含まれる覚せい剤は微量な場合、使用の時期や期間の特定が難しい。尿に比べ証拠能力は低く、陽性=有罪とはいえないが、「所持」容疑での立件の後押しになったという見方がある。日大名誉教授の板倉宏氏は「所持で起訴できる要素はそろっている。毛髪の反応も出たので、立件の支えになる」と話した。一方、薬物事件も専門のアトム東京法律事務所の岡野武志弁護士は「毛髪検査は証拠として弱い。所持は事実なので、それで起訴するでしょう」と話している。

 [2009年8月20日8時59分

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