合成麻薬MDMAを服用したとして、麻薬取締法違反(使用)の疑いで逮捕された押尾学容疑者(31)が24日、起訴された。一緒にいて死体で見つかった高級クラブ勤務の女性(31)について、保護責任者遺棄致死の容疑でも再逮捕されるという見方もあったが、現段階では困難とみられている。この日、押尾被告に保釈請求はなく、身柄は東京・三田署にそのまま拘置された。

 押尾被告は拘置期限を迎えたこの日、東京地検に起訴された。起訴状によると2日ごろ、東京都港区の六本木ヒルズのマンション一室で、MDMAの錠剤を若干量飲み込んだとされる。

 保釈請求が認められ、保釈される可能性もあったことから、身柄のある東京・三田警察署前に報道陣が集まったが、姿を見せることはなかった。捜査関係者によると、同被告に対する保釈請求はこの日なかったという。薬物に手を出し、一緒にいた女性が原因不明の死を遂げた事件の渦中にある同被告に手を差しのべる関係者はいなかった。

 同被告は3日、尿検査で薬物反応が出たため逮捕された。警視庁の調べに対して当初、MDMAの錠剤について「違法なものとは思っていなかった」などと供述。ところがその後一転して「違法なものと知っていた」と容疑を認めた。また二転三転した供述について「うそをついていました。ごめんなさい」などと話していることがこの日、分かった。

 同被告には一緒にいた女性の死亡についても調べが進められた。女性の異変に気付いてから119番通報まで約3時間を要していることが判明。同被告は調べに対し「女性がけいれんするなどしたので心臓マッサージをした」と供述している。女性の肋骨(ろっこつ)はマッサージによるとみられる力で骨折していた。調べによると、同被告は異変に気付いてから約30分後にマネジャーに「意識が戻らない」と連絡。それから約2時間半後にようやく119番通報したという。女性からは薬物反応が検出されている。

 この件について、同被告が保護責任者遺棄致死の罪に問われるのではという見方もある。警視庁は女性の死因や、同被告の行動が適切だったかどうかなど引き続き調べを進めるが、保護責任者遺棄致死の疑いによる逮捕は難しいとみられている。

 [2009年8月25日7時54分

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