【笹森文彦が解説】

 KARAの問題は、韓国芸能界の“暗部”を浮き彫りにしている。メンバーと事務所の言い分の真偽は現時点で判断できないが、それにしても、専属契約のトラブルが散見する。

 一例だが、契約書には契約年数、報酬、違反した場合の賠償などもある。練習生として「先行投資」を受けデビューすると、専属期間は13年など長期に及ぶケースもある。例えば19歳でデビューすれば満了は32歳。男女を問わずアイドルなら“終身契約”のようなものだ。違約条項は「契約金の返還、投資金の5倍、今後予想される利益の3倍を賠償する」などと記載される。

 報酬の設定も日本とはかなり違う。韓国の場合、CDはアルバムでシングルはほとんどない。価格もアルバムは1000円程度と安い。報酬はアルバムの売上枚数が基準。実例だが、新人の時に1枚20ウォンの契約をしたアイドルがいた。1ウォンは現在の換算で0・07円。1枚1・4円。仮に50万枚売れても70万円。人気が出ても、ほとんど変わらなかったという。

 すべてがそうではない。双方納得のいく契約もあるし、長者もいる。だが、韓国の専門家ですら「世界に広がるK-POPの格にそぐわない後進的契約システムでは、これ以上の韓流はない」と警鐘を鳴らしている。(編集委員)

 [2011年1月24日10時32分

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