女子ボクシングで来年のロンドン五輪出場を目指す南海キャンディーズの山崎静代(32)が30日都内で、初めて日本チームのユニホームを着て韓国の強豪選手と非公式な親善試合を行った。健闘したが、パンチを浴びる場面も多く「全然ダメ。点数は15点」。勝敗をつけない形式だったが、思い通りの戦いができなかったやるせなさに目を潤ませた。今回の悔しさをバネに9月、台北で初の公式試合に臨み、来年の世界選手権での五輪出場権ゲットを目指す。

 背中に自分の名前が入った赤い日本のユニホームを着て試合に臨んだしずちゃんは、「フーッ」と息を吐くとゴングと同時に相手と向かい合った。芸人ではなく、ボクサーの眼光だ。

 相手は6月に1度、韓国遠征中にスパーリング形式で対戦したことがあり、キャリア約40戦、韓国の学生選手権で優勝歴もあるパク・チェミン選手(19)。身長182センチ、体重約75キロのしずちゃんより約20センチ低く、約10キロ軽い。しかし1Rから積極的に攻め、しずちゃんの顔に左右のフックを何発も当てた。

 しずちゃんは時折、右のストレートや左右のボディーをヒットさせたが、相手の手数も多い。スリップで2回転倒した。2分3Rの親善試合として行われ、勝敗はなしというルールだったが、試合後のしずちゃんは「自分の良さを全然出せなかった。全然ダメだなって。全部が後手後手になった。点数は…15点くらいですかね」と目を潤ませて悔しさをかみしめ、自身にダメ出しした。

 今回の親善試合は、27日~9月4日まで都内で行われているアマチュアボクシングの日韓合同強化合宿の一環として全11試合行われた。しずちゃんはこれまで、国内外でスパーリング形式を含む非公式試合は数回経験しているが、日本チームのユニホームを着て試合に臨んだのは初。9月7~11日まで台北市で開催される「台北市カップ国際トーナメント」で初めて公式試合に出場予定で、今回は公式デビュー前の最後の本格的実戦となった。

 しずちゃんは「今日みたいな調子じゃ、台北カップは絶対ダメ。(台北カップは)オリンピックにつなげるためのいい勉強になればと思います」と五輪出場の目標をあらためて確認した。またこの日、所属吉本興業の芸人仲間、麒麟の田村裕、ロバートの山本博らも応援に駆けつけ激励した。

 ◆山崎静代(やまざき・しずよ)1979年(昭54)2月4日、京都府福知山市生まれ。大阪府立茨木西高時代は女子サッカー部。アマチュア時代にABCお笑い新人グランプリに出場。審査員特別賞を獲得し03年、山里亮太と南海キャンディーズ結成。ボケ担当。06年映画「フラガール」で女優デビュー。ボクシングはドラマでボクサー役を演じたことを契機に08年ごろ趣味で始めた。身長182センチ。

 ◆しずちゃん五輪への道

 来年5月、中国で開催されるアマチュア女子ボクシング世界選手権のミドル級でベスト8に入ればロンドン五輪代表に内定する。各大陸の推薦選手(11人)に選ばれても出場できる。ロンドン五輪から正式種目になった女子ボクシングはフライ級(48~51キロ)ライト級(57~60キロ)しずちゃんのミドル級(69~75キロ)の3階級で行われる。世界選手権には、来年3月に広島で開かれる全日本選手権の成績などから出場者が選ばれる。