松嶋菜々子(38)が無表情な家政婦を演じ話題の日本テレビ系ドラマ「家政婦のミタ」は、21日放送の最終回で平均視聴率が40・0%(ビデオリサーチ社調べ、関東地区)だったことが22日、分かった。今年放送のテレビ番組の最高視聴率で、現在の調査方法になった1977年(昭52)以降、NHK大河ドラマと連続テレビ小説を除いたドラマでは歴代5位タイ。娯楽形態が多様化した現代にマークした驚異的な数字に日本テレビ側は「テレビの可能性」をアピールした。関西地区の視聴率は36・4%。

 40・0%が見た。番組占拠率は52・5%で、テレビをつけていた人の半数以上が見ていた。最終回では、夫、長男を義弟の放火によって亡くし、笑顔を失った松嶋演じる家政婦の三田灯がついに笑った。瞬間最高視聴率は、午後11時0~3分の4分間で42・8%。笑った後、三田が阿須田家の元からバスに乗って去るシーンだった。

 松嶋

 ずっとやりたかったオリジナル作品でこれだけの評価をいただけたことが本当にうれしい。全ての方々に感謝いたします。

 11話を演じきった松嶋は、満面の笑みを想像させるコメントを発表した。

 同時に脚本家の遊川和彦氏(56)は「松嶋さんは迷いなく演じることができたとおっしゃいましたが、無理難題を押しつけたりしました。でも、こちらがねじ伏せられました。松嶋菜々子という女優のすごさを感じました」などとコメントした。

 同ドラマは第8話で今年のドラマで最高視聴率29・6%をマーク。最終回でどれだけ伸びるかが注目されていた。この現象を受け、日本テレビ側も編成を組み替えた。21日は午後9時から第10話までを振り返りながら、最終回につなぐ特別番組「さよなら・家政婦のミタ」を放送。視聴者のテンションを上げたこの番組も28・7%(前4週平均17・5%)。続けて本編との間に3分間放送された「心に刻む風景」も30・6%(同17・7%)だった。

 宣伝戦略もはまった。最近のドラマでは、主演者が朝から情報番組などに出演し、宣伝するケースが多いが今回、松嶋はそれをしなかった。笑わない「ミタ像」を崩さないための戦略で、スポットCMも「今日、ミタの過去が明かされる」など、分かりやすいコピーで視聴者をひきつけた。

 また、日本テレビではインターネットの普及で衰えたとされた「テレビの力」を再びアピールできたことも喜んでいる。40・0%は、同局では79年3月の「金曜劇場・熱中時代

 最終回」と同年7月の「太陽にほえろ!」に並ぶ視聴率だが、BS、CSなどの多チャンネル化、ネット、ゲーム機器など、個人で楽しむ娯楽が多様化した今、驚異的な数字と言える。00年以降では同年3月にTBS系で放送された「ビューティフルライフ

 最終回」の41・3%に次ぐ高い数字。その思いも込めて同ドラマの大平太プロデュサーは「テレビには、まだまだ無限の可能性はあることを再認識させてくれた」とコメントした。【三須一紀】

 ◆家政婦のミタ

 家事の腕は完璧だが、無口で無表情な家政婦が主人公。松嶋主演で、脚本は「GTO」などのヒット作を手掛けた遊川和彦氏。活発に動き上流家庭の欺瞞(ぎまん)を見聞する女優市原悦子の人気ドラマシリーズ、テレビ朝日系「家政婦は見た!」とは対照的なロボットのような松嶋の演技が受け、10月のスタート以来、高視聴率を記録。「承知しました」「それは業務命令ですか」などのせりふも流行し、ドラマで使ったエプロンに注文が殺到した。