<第15回日刊スポーツ・ドラマグランプリ受賞者発表>

 「第15回日刊スポーツ・ドラマグランプリ」の助演男優賞は、日本テレビ系ドラマ「妖怪人間ベム」でベロを演じた人気子役、鈴木福(7)が受賞した。7歳の受賞は史上最年少で、子役の受賞も初めて。原作のアニメDVDを見て役作りに励んだ努力が実った。「怖くな~い。おもしろ~い」と妖怪役も愛着を持って演じた。

 子役だからと思って甘く見てはいけない。福くんは用意周到だった。今回の収録前、徹底的に「妖怪人間ベム」のDVDを見て予習した。普段もレンタル店で幅広いジャンルのDVDを借りて研究しているが、「『妖怪人間ベム』は悪者を倒すのではなくて、悪いことをした人に『もうやっちゃいけないよ』と分からせるんです」と、今回もドラマ制作陣の意図と物語の真意を理解して撮影に臨んだ。ただ愛らしいだけではないのだ。

 昨年4~7月に放送されたフジテレビ系ドラマ「マルモのおきて」で大ブレークした。直後に「妖怪人間ベム」の収録に入った。それでも「マルモ-」の役を引きずることなく、すんなりと妖怪役に入り込むことができたという。それには大きな理由があった。もともと、妖怪が好きだったのだ。4歳の頃、レンタル店に行き、「ゲゲゲの鬼太郎」を借りて、その世界にはまった。「近くに『妖怪人間ベム』のDVDもあったんです。その時は借りなかったんですが、ずっと気になっていました」。

 収録に向けて、普段は自分を「俺」と呼ぶが、役柄に合わせて「オイラ」と言うようにした。「マルモ-」は日常生活が舞台。今回は妖怪という非日常の世界が描かれており、その違いも、切り替えやすさにつながったのかも知れない。

 亀梨和也(26)杏(26)ら共演者にも支えられた。「優しくて、収録中に寒かった時、2人が囲んでくれて温めてくれた」。絆は今も深く、4月20日には亀梨がステージに立ったKAT-TUNの東京ドーム公演にも亀梨の写真入りのうちわを持って駆けつけた。亀梨らが観客全員に手をつなぐように呼びかけた時、「福~っ!

 手をつないだか~!」と名指しで声を掛けられたという。

 多忙な生活を送る売れっ子だが、どんな仕事でも楽しそうにこなす。NGについて聞かれても、「そりゃ、出しますよ~。一番多いのはセリフをかんじゃうこと」。失敗を素直に受け止め、笑顔で振り返る姿が印象的だ。

 目指す俳優像を聞いた。「亀梨さん、杏さん、北村一輝さんみたいになりた~い」。そう言って、無邪気に笑った。【三須一紀】

 ◆鈴木福(すずき・ふく)2004年(平16)6月17日、東京都生まれ。06年NHK教育「いないいないばぁ!」でデビュー。ドラマ「マルモのおきて」で芦田愛菜とユニットを組み「マル・マル・モリ・モリ!」を歌い、11年NHK紅白歌合戦に初出場。血液型B。

 ◆妖怪人間ベム

 11年10月期に日本テレビ系で放送された作品。人間になりたい妖怪人間ベム、ベラ、ベロと人間の交流を描く。主演の亀梨和也がベム、ベラを杏、ベロを鈴木福が演じた。共演は北村一輝、堀ちえみら。平均視聴率15・6%、最高は18・9%。

 ◆ドラマグランプリ

 3月23日から30日まで日刊スポーツのホームページ「ニッカンスポーツ・コム(PC版、スマホ版)」と携帯サイト「ニッカン芸能!」、宅配読者の携帯会員サイト「ニッカンポイントクラブ」で、昨年4月から今年3月までに放送された連続ドラマを対象に、主演女優賞、主演男優賞、助演女優賞、助演男優賞、作品賞を選ぶアンケートを実施。各期(4、7、10、1月)ごとのベスト5、各部門計20人(作品)を候補とした。投票総数は5856票。男女別では、男性が1207票、女性が4649票、世代別では、10代以下が391票、20代713票、30代986票、40代2138票、50代1309票、60代以上が319票だった。