俳優山本太郎(38)が1日、衆議院選挙出馬の意向を明らかにした。都内で会見を開き、「新党

 今はひとり」の立ち上げを宣言。「脱原発」を第1の政策に掲げ、他党と比例代表で統一名簿を作りたいとした。一方で公示が今月4日に迫り、時間的に困難な状況から無所属のまま選挙区で出馬する可能性も示した。今回の選挙では、山本が芸能人の出馬表明第1号。現在の国政を痛烈に批判したが、この日は具体的な政策を示せず準備不足も露呈した。

 山本は約23分間、過激な文言も交えて訴え続けた。

 「政治家になりたい気持ちは、はっきり言ってない。ヤクザな世界に身を置くのはしんどい。でも各政党の政策で脱原発が一番に押し出されていない。日本は地震の活動期で、今も福島第1原発は放射能が漏れ続けているのに(昨年12月16日の野田首相の)収束宣言なんてハッタリが言われている。止めないと日本人は絶滅する」。

 東日本大震災発生から1年8カ月、脱原発の活動を続けてきた延長での出馬決意だった。この日、示した政策は(1)脱原発(2)放射能汚染が進んでいるとみられる東日本からの避難確立。その上で「政治はこの国を売り飛ばそうとしている第一極の人たちと、国を守って国民の幸せを担保しようとする人たちの第二極の戦いというのを広く伝えたい」。第一極の政党として民主党、自民党、公明党、日本維新の会、国民新党を名指しで批判した。「原発はほとんど稼働しておらず、供給電力は全電力の0・5%にも満たない。石原何とかさんは『(脱原発で)原始時代に戻るのか』と言うが、とんでもない話」。

 各政党から出馬の打診も受けたというが、「党規の歩調に合わせなければいけない。国会ではっきり言う人が必要」と単独での出馬を決意したという。一方で環太平洋連携協定(TPP)と増税に反対する政党との共闘を希望し「現職の国会議員で、僕が立つことで一緒に戦ってもらえるなら、5人集まってもらえれば、統一名簿という考えが出来る」とも訴えた。

 電撃出馬に至るまでに家族を説得し、11月30日未明に身近な関係者だけに出馬の意思を伝えたという。

 一方で脱原発以外では具体案を示せなかった。TPP交渉参加について「米国においしい思いをさせるだけ。安い海外食品が流入すれば日本の農業は壊滅する。反対しかない」など発言したが、報道陣から具体案を聞かれても理念を訴えるだけだった。

 また、比例代表の名簿提出期限が明日に迫り、無所属で選挙区から出馬する可能性もあるとしたが、選挙区も未定。「選挙を面白くするために橋下徹さんに出てほしい。結局、大阪市長の仕事ほっぽらかして全国を歩いて、出馬しなかったら、何をやりたい?

 ガチンコでケンカさせていただきたい」と威勢は良かったが、自身が脱原発以外に何をやりたいのか具体性は見えてこなかった。【村上幸将】