2日放送のWBC1次ラウンド「日本-ブラジル」の平均視聴率(ビデオリサーチ調べ)が、関東地区で25・4%(関西地区23・6%)だったことが4日、分かった。7回終了時まで2-3と苦戦していたことが逆に視聴者をひきつけ、高視聴率となったとみられる。瞬間最高視聴率も日本が勝ち越した場面で、関東地区で35・5%(関西地区32・4%)。放送したテレビ朝日は、ゴールデン、プライムタイムで初の年度視聴率2冠へ大きな後押しを受けた形になった。

 侍ジャパンの思わぬ苦戦が、逆に視聴者をひきつけていたようだ。複数のテレビ関係者への取材によると、午後9時台の関東地区での視聴率は、25%前後を推移していた。だが、同53分に一気に数字は跳ね上がった。8回表、代打の井端弘和内野手が3-3となる同点打、続いて長野久義中堅手が遊安を放ち、続く鳥谷敬二塁手が打席に立った場面だった。

 文字通り、侍ジャパンの逆襲シーン。そのタイミングも最高だった。他局の同9時台の番組が終了し、まさに視聴者がチャンネルを変えている状況。それに重なったところで、「この試合は見なくても日本が勝つだろう」と思い込んでいた視聴者も、画面にくぎ付けになったとみられる。最高瞬間視聴率は、同58分の35・5%。代打で出場した阿部慎之助捕手が4-3となる勝ち越し打を放った直後、松田宣浩三塁手が勝利をひきつける適時打を放った場面だった。

 翌3日の中国戦は、23・2%(関西地区24・0%)。最高瞬間視聴率は32・3%。同8時58分の5回裏、中田翔左翼手が打席に立った場面だった。

 放送したテレビ朝日にとって、この2戦は大きな追い風になった。2012年度視聴率では、3日の時点でゴールデンタイム(午後7時~同10時)が12・3%で、2位日本テレビに0・2%差をつけて首位。プライムタイム(午後7時~同11時)も12・6%で、2位日本テレビに0・7%差をつけて首位。59年の開局以来初の年度視聴率2冠となっている。

 全日(午前6時~同0時)では、首位日本テレビに0・1%及ばず7・8%で2位。年度末が近づいたこの時期の「全日の0・1%差」は大きいとし、先月の定例会見でテレビ朝日の早河洋社長は「3冠は難しい状況」と話しているが、それでも同局は、日本が勝ち進めば決勝を含め、あと3試合放送する予定。限りなく3冠に近い初の2冠へ。大きなプラス材料となっていくことは間違いない。

 ◆WBCの初戦平均視聴率

 06年の第1回大会では初戦で中国と対戦し、18・2%(TBS)だった。09年の第2回大会でも初戦は中国で28・2%(テレビ朝日)。前回大会で日本が優勝し、イチロー、松坂大輔ほか大リーガーも名を連ねていたこともあり、瞬間最高視聴率は37・1%と高視聴率。視聴率低下を懸念する声もあった。

 [2013年3月5日6時46分

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