劇作家で小説家の井上ひさしさん(享年75)が「てんぷくトリオ」のために書いた「てんぷくトリオのコント」がお笑い3人組、我が家による、こまつ座公演として東京・東池袋のあうるすぽっとで6月19日から上演される。てんぷくトリオの元メンバー伊東四朗(76)がエールを送った。

 てんぷくトリオは、三波伸介さん(享年52)戸塚睦夫さん(享年42)伊東の3人で62年に結成し、専属のコント作家が井上さんだった。伊東は「井上さんと出会わなければ立ち往生して表舞台から消えていただろう」と話す。日本テレビ系「九ちゃん」などにレギュラー出演したが「『宮本ムサクルシ』『荒木マタズレ』といった泥くさいコントしかなく、毎週放送するには限界があった時、井上さんの洗練された、かといって簡単に出来ないコントに出会い、目からうろこ状態だった」と振り返る。

 井上さんは朝刊に載った時事ネタをもとにコントを量産。伊東は「生放送ギリギリで届いた生原稿を3人でほとんど一読だけでステージに立ったことは今振り返っても身震いする経験でした」。

 今回は150本以上のコントの中から、脚本・監修のラサール石井、演出の青木豪氏が厳選した。

 石井が井上さんの放送作家時代のエピソードをもとに脚本を書き、芝居とコントが融合した舞台になる。伊東は「難しいんですよ、井上さんのコントは。我が家さんも痛感していると思う。45、46年前にこぼれた種が芽を出したような感じで、花が咲いてくれるようにパワーを送ります」。【林尚之】