5月7日公開のアニメ映画「星を追う子ども」(新海誠監督)が、8月上旬から韓国の映画館100館で公開されることが4日、分かった。韓国では98年に日本語出版物の発行が解禁になったことを皮切りに、政府による日本文化開放政策が段階的に行われた。劇場用アニメは06年に完全開放されたが、単館系の作品が100館で上映されるのは極めて異例だ。

 新海監督は人間の深い心情を描く、私小説的な作風で海外で高評価を得ている。韓国ではDVDがなかなか売れないが、07年公開の「秒速5センチメートル」は3000本を売り上げ、小説化された。ソウルで毎年恒例の国際マンガ・アニメーションフェスティバル(SICAF)では、05年に「雲のむこう、約束の場所」が長編部門の最優秀作品賞を受賞。07年に「秒速-」、今年も「星を-」がオープニング上映される。

 作品のほとんどの製作に携わり、美意識を追求するスタイルを貫くため、あえて大手とは組まず独自の道を歩んできた。海外での期待の大きさを受け、韓国での大規模公開に踏み切った。国内の公開は4日現在で20館にとどまるが拡大の予定で、欧州各映画賞にもエントリーしている。新海監督は「深く影響を与え合う韓国で、どのように受け入れられるか興味深い。アニメという表現手段と生死を考えるテーマは普遍に届くはずだと信じて待ちたい」と期待した。【村上幸将】