アニメ映画「妖怪ウォッチ

 誕生の秘密だニャン!」(高橋滋春、ウシロシンジ監督、12月20日公開)の劇場前売り券が、72万1422枚(10月26日時点)売れたと2日、配給の東宝が発表した。創立82年の同社が配給してきた全作品の中での最高記録で、早くも来年冬に劇場版第2弾を公開することが決定した。

 ゲーム、漫画、アニメなどで一大ムーブメントを巻き起こす「妖怪ウォッチ」が、新たな記録を打ち立てた。「-誕生の秘密だニャン!」の劇場前売り券(一般1400円、子ども800円、親子ペア2100円)が7月19日から全国で発売を開始し、99日間で72万1422枚を売り上げた。コンビニや他の流通店での売り上げを除いた数字で、関係者は「劇場前売り券販売数としては東宝映画史上最高です」と説明。現在も週平均1万枚以上のペースで売れ続けているという。

 先着50万人限定の劇場前売り券特典「フユニャンメダル」を目当てに、ファンが劇場に殺到したことが要因とみられる。任天堂3DS用ゲーム「妖怪ウォッチ2

 元祖/本家」で、ストーリーをクリア後に、メダルの裏にあるQRコードを読み込むと、ゲームの中で「思い出のフタ」を入手できる。それを持って、しのびの森に行くと、特別な妖怪フユニャンが出現、というゲームと連動した特典が、子どもたちの心をつかんだようだ。

 関係者によると、発売日の7月19、20日の2日間で、劇場前売り券50万枚は全国でほぼ完売。東北と島根県の一部の劇場で1、2週間、残っていた程度で、ネット上などでは、「フユニャンメダル」を手に入れられなかったファンが失望する声が相次いだ。

 映画の製作委員会サイドは、ファンの心情を考慮し対応策を検討。好きな妖怪に応援メッセージやイラストを書いて送ったファンから抽選で10万人に、前売り特典とは絵柄が違うものの同じQRコード付きの「フユニャンメダル(G)」をプレゼントする新企画を8月19日に発表した。

 そんな過熱ぶりを受け、初の劇場版公開の1カ月半も前に、早くも来冬の劇場版第2弾の製作、公開も決まった。内容は未定だが、東宝は「日本中に愛される『ドラえもん』『クレヨンしんちゃん』『名探偵コナン』『ポケモン』に続く、長年続く大ヒットシリーズ化を目指す」としている。

 ◆「妖怪ウォッチ」現象

 福岡市のゲーム会社「レベルファイブ」が、13年7月に発売した任天堂3DS用ゲームソフト。第1弾の「妖怪ウォッチ」が累計販売本数125万本、今年7月発売の第2弾「-元祖/本家」は同270万本を突破した。

 発売前の13年1月から「月刊コロコロコミック」(小学館)で漫画の連載を始め、今年1月からはテレビ東京系でアニメも放送と、クロスメディア展開で爆発的な人気を獲得。玩具の腕時計「DX妖怪ウォッチ」(バンダイ)にはめて遊べる「妖怪メダル」は、年内で出荷1億枚超の見込み。

 ユーチューブで公開中のアニメのエンディング曲「ようかい体操第一」(Dream5)は、再生回数4400万回超で、オープニングテーマ曲の「ゲラゲラポーのうた」(キングクリームソーダ)は、CD累計出荷枚数が約30万枚。