豊洲市場(東京都江東区)移転問題を検証する都議会百条委員会は4日、前川燿男(あきお)練馬区長ら元の都幹部3人を証人喚問した。前川氏は、当時の石原慎太郎知事の側近だった浜渦武生元副知事に関し、ほとんど登庁しなかった石原氏の分身で、一貫して「権力が集中していた」と強調。「わび状の書き方が気に入らないと突き返された局長もいた。部課長は、浜渦氏と仕事するために手紙を書いた」「普通の組織で当たり前のことが通らない。大変な時代だった」と、強権ぶりを振り返った。

 浜渦氏の副知事在任は、00年7月~05年6月。先月の証人喚問で浜渦氏は、豊洲の用地売買をめぐる東京ガスとの交渉に自身が関与したのは「01年7月の基本合意まで」と述べており、前川氏の発言と矛盾する。公明、共産などの会派は浜渦氏について「偽証の疑いが強まった」と指摘し、一部会派は、偽証罪での告発も検討。百条委での虚偽答弁は禁錮または罰金の対象となる。委員会は今後の対応を慎重に協議する。

 前川氏は、先月会見した石原氏に「用地買収のキーマン」と名指しされ、事実誤認と反論。石原氏も誤りを認めた因縁があり、「知事として全面否定はしないが、行政や庁内管理にほとんど関心がなかったのがいちばん問題」と、恨み節も吐露した。瑕疵(かし)担保責任の放棄を知らなかったとしたことも「知らないから免責されるものではない」と、切り捨てた。

 予定された24人の証人喚問は終わったが、真相解明には至らなかった。今後は、豊洲移転の可否をめぐる小池百合子知事の判断が最大の焦点だ。