★27日に米ニューヨークの国連本部で始まった核拡散防止条約(NPT)再検討会議は冒頭から大荒れだ。議長と議事を進行する副議長は26人いるが、そのうちの1人が非核保有国の義務である国際原子力機関(IAEA)の査察を受けていないイランが選出されたことに「資格がない」「ふさわしくない」と米国やアラブ首長国連邦(UAE)が強く反発。米国が会議費用の応分の分担見直しを求めだし、今度はその議論を突きつけられた中国やロシアが反発。初日から各国の「政治的」利害がぶつかり合う幕開けとなった。
★日本は唯一の戦争被爆国として、NPTでの議論を主導してきた。ところが高市政権は昨今の世界情勢の変化を理由に核武装を昨年からちらつかせ、非核三原則(核兵器を持たず、作らず、持ち込ませず)についても安保3文書改定に関する有識者会議に見直しを公言する元統合幕僚長・山崎幸二がメンバーに入るなど「日米同盟のためにNPT脱退」が望ましいとかじを切る腹だ。それに猛反発するのは広島選出で4年前の前回NPT会議に首相として参加した岸田文雄だ。25日の西日本新聞のインタビューでは「NPTは核保有国と非保有国が参加する唯一の普遍的な枠組み。機能させるために日本は汗をかく必要がある。加盟国が核軍縮に努力しようとコミット(関与)するのを確認することが、最も重要な目標」「ポイントは核保有国を動かせるかどうか。条約は核保有国が不参加で、日本がオブザーバー参加することで核保有国が動かなくなれば元も子もない。一方で、核兵器のない世界を目指す出口として条約は重要。理想に近づくため、現実的に一歩一歩汗をかく。それが日本の取るべき道」と訴える。今回日本政府は外相以上の出席を求められたが外務副大臣の出席にとどめている。
★現在政府は10年の民主党政権時の外相・岡田克也の「核搭載米戦艦の一時寄港を認めないと日本の安全が守れないならば、その時の政権が命運をかけてぎりぎりの決断をし、国民に説明すべき」を継承しているが前のめりな高市政権には「国是として堅持されてきたものを今、変える必要はない。核共有は考えたこともない。原子力潜水艦は膨大な費用がかかり、必要性の問題もある。慎重に考えるべき課題だ」(岸田文雄)とする。自民党の正念場だ。(K)※敬称略


