がんばれプボくん! 現役屈指の人気者ディープボンド(牡7、大久保)が”4度目の正直”に挑む。3年連続2着の天皇賞・春(G1、芝3200メートル、28日=京都)に今年もチャレンジ。そのひたむきな走りから、SNSでは「プボ」「こしあん」などのニックネームで愛されている。今回の「ケイバラプソディー ~楽しい競馬~」では、太田尚樹記者が大久保龍志調教師(58)に愛馬への思いを聞いた。

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愛さずにいられない!? 頭を小刻みに上下させてリズムをとるように歩く。ファンいわく「プボプボしてる」。しっとり輝く青鹿毛の体は「こしあんボディー」だとか。G1・2着4回のディープボンドは現役屈指の人気者だ。大久保師は「もちろん、どの馬もみんなかわいいです」とした上で「一生懸命に走ってくれますし、フランスにも2回も連れて行ってくれました。思いは人一倍というか“馬一倍”強いですね。みんなにかわいがってもらって、ファンレターも毎週のように来ます」と目を細める。

そのひたむきな走りが人々の胸を打つ。谷口助手によると、厩舎へ届く手紙には「落ち込んでいる時に見て、頑張る姿に励まされました」といった文面が多く、送り主の大半は女性だという。3歳時から一線級で走り続け、同じ勝負服の“同期”コントレイルをはじめ、イクイノックスやタイトルホルダーといった強敵に何度も何度も立ち向かってきた。

大久保師 普段はのんびりしていて、厩舎でも寝ているか食べているか…。オンとオフがしっかりしています。いい意味で真面目。やるべきことをわきまえてくれています。ずる賢くなく正直者で、歯を食いしばって走ってくれますから。

そんな素質にいち早く目をつけたのもトレーナーだった。1歳時に上場されたセレクションセールでの落札額は1650万円(税抜き)。平均落札額と大差はなく、決して注目されていた存在ではなかったが…。「歩きが良かったですね。お父さんのキズナも好きでしたし『いいな』と思いました」。ノースヒルズの福田洋志ディレクターへ推薦して、聞き入れられた。

大久保師 コロンとしていたんですが、いい成長をしてくれて、かっこいい馬になりましたね。

今年初戦は阪神大賞典7着と思うような結果を残せなかったが、昨年は同5着から巻き返している。中間は、追い切り日以外の調教でCウッド(1周1800メートル)2周の乗り込みをこなすなど、調整法を変えて復活を期す。

「なんとか大きな勲章をとってもらいたいですね」。国内外15度目のG1挑戦。みんなの視線と愛情を注がれる漆黒の馬体は、春の淀でこそ輝くはずだ。

◆プボくんの由来 馬名のディー「プボ」ンドから、SNSなどでは「プボ」のニックネームで親しまれている。京都競馬場主催の「アイドルホースオーディション2022」では2万6068票を集めて3位に入り、ぬいぐるみが製作された。

(ニッカンスポーツ・コム/競馬コラム「ケイバ・ラプソディー~楽しい競馬~」)

昨年の天皇賞・春で2着だったディープボンド(右)。左は1着のジャスティンパレス
昨年の天皇賞・春で2着だったディープボンド(右)。左は1着のジャスティンパレス