史上最多の高校通算111本塁打を誇る早実(西東京)の清宮幸太郎内野手(3年)が、プロ志望届を提出する意思を固めたことが20日、分かった。今月、カナダで行われたU18ワールドカップ(W杯)後に両親、学校関係者らと面談。大学進学か、プロ入りかで揺れたが、幼い頃からの夢を選択したようだ。早実の先輩で日本ハム斎藤が早大進学を表明した時も会見が開かれたように、清宮も近日中に会見を開くとみられ、早ければ明日22日にも思いが語られる。
カナダで行われたU18W杯から約1週間。早実・清宮がプロ志望届を提出する意思を固めた。12日の日本帰国時の会見で「大学かプロかで迷っています。(決断の期限は)あまり決めてないです」と悩める心中を吐露した。その後、ラグビーのヤマハ発動機で監督を務める父・克幸氏(50)らとの家族会議、学校関係者らとの話し合いを実施。複数の関係者の話によれば、夢だったプロ入りを目指す決断を下したとみられる。
かつて、清宮は進路の決断時に何を優先すると聞かれ「消去法は嫌なので、やっぱり自分が何をやりたいかとか、しっかり見つけて、一番いい選択ができればなと思います」と言った。主将を務めた高校日本代表では、すでにプロ志望届を提出した秀岳館・田浦、ドラフト候補に挙がる履正社・安田、広陵・中村、横浜・増田らとプレー。刺激を受けるとともに、プロへの思いが膨らんだ可能性は考えられる。
早期のプロ入りは自身の壮大な夢にも近づく。U18W杯で同世代の世界の選手と胸を突き合わせ「メジャー」挑戦の思いを明確にさせた。「こういう子たちとやっていると楽しいというか、夢があるなと。雰囲気も自分はすごく好きですし、将来はこっちに来てやりたいなと思った」と言った。米国代表のシアニ主将ともメジャーでの再会を約束。幼少期、おぼろげに描いた夢は現実の夢に変わった。
清宮の決断によって、ドラフトの情勢が大きく変化する。これまでスカウト会議を重ねたプロ球団は、1位指名について「清宮の進路次第」と発言する球団が多く、リストアップを進めながらも、探り探りの状態だった。清宮がプロ志望届を提出するとなれば、全12球団から調査書が届くことも予想され、89年の野茂英雄、90年の小池秀郎の最多8球団の競合を超える可能性もありそうだ。
早実の先輩で日本ハムの斎藤が早大進学を表明時に会見を開いたように、清宮も近日中に会見を開くとみられる。自らの口で何を語るかに注目が集まる。
◆清宮幸太郎(きよみや・こうたろう)1999年(平11)5月25日生まれ、東京都出身。早実初等部3年の時に「オール麻布」で野球を始めた。東京北砂リトルに所属した12年は、リトルリーグ世界選手権で4番エースとして5試合3本塁打を放ち優勝。調布シニアでは一塁手。早実では1年春からレギュラー。甲子園には1年夏と3年春に出場。1年夏は2本塁打を放ち4強入りし、高校日本代表としてU18W杯出場。主将で出場した今春のセンバツは2回戦で東海大福岡に敗戦。今夏は2度目のU18W杯に出場し、高校日本代表の主将を務めた。高校通算111本塁打。高校公式戦の通算成績は70試合で247打数100安打(打率4割5厘)、29本塁打、95打点。184センチ、101キロ。右投げ左打ち。家族は両親と弟。父克幸さんはラグビーのヤマハ発動機監督。
◆早実出身プロ 最近は斎藤佑樹(日本ハム)重信慎之介(巨人)らが早大経由でプロ入り。早実から直接プロ入りしたのは榎本喜八(55年毎日)王貞治(59年巨人)川又米利(79年中日)荒木大輔(83年ヤクルト)ら。早実から直接プロは板倉賢司(84年大洋)上福元勤(同巨人)が最後。
◆早実先輩・斎藤佑樹会見VTR 現日本ハムの斎藤は高校3年の06年9月11日に会見を実施し、早大進学を表明した。会見には和泉実監督らも同席。「家族、学校関係者とも話し合い、大学進学を希望します」と話した。「プロ野球は小さいころからの夢。体を大きくして4年後、挑戦したい」と4年後のプロ入りを目標に挙げた。
◆ドラフト1位の競合抽選 清宮には複数球団の1位指名が予想される。過去の競合で最多は89年野茂英雄(新日鉄堺)と90年小池秀郎(亜大)の8球団。高校生では95年福留孝介(PL学園)の7球団が最多。
◆プロ野球志望届 日本高野連が04年に導入した制度。野球部員がプロ球団と交渉を希望する場合や入団テストを受けようとする場合、所属する都道府県の高野連へ「プロ野球志望届」を提出しなければならない。当該連盟は受理後、日本高野連に報告。日本高野連はホームページに掲載する。提出しない選手はドラフトで指名を受けられない。提出期間は、全国高校野球選手権の終了翌日からドラフト会議の2週間前(今年は10月12日)まで。大学生は07年から制度化された。