運命の日まであと3日。いよいよプロ野球のドラフト会議が24日に迫った。走攻守3拍子そろう東海大甲府(山梨)渡辺諒内野手(3年)は、ドラフト1位候補として赤丸急上昇中だ。

 東海大甲府・渡辺は“ドラ1”が生まれた縁起の良い部屋で暮らしている。野球部の寮、201号室は2年前にドラフト1位指名された中日高橋周も住んでいた。壁には高橋周から贈られた「プロになれるかな?」という色紙が飾ってある。「周平さんに憧れてプロになりたいと思ったので、宝物です」と話した。

 178センチ、80キロで胸囲は100センチ。太ももは60センチと細い女性のウエストと変わらない。「見た目が怖いって、クラスの女子には話しかけづらいと言われます」と笑う。プロと見劣りしない体格のスラッガーの元には、全12球団から調査書が届いた。巨人山下スカウト部長が「坂本のように打てる遊撃手になる。長打力がすばらしい」と言えば、楽天早川スカウトマネジャーも「松井稼頭央の後継者になれる。足も速くて打撃に力がある」と絶賛した。

 2年夏に甲子園で本塁打を放ち、打てる遊撃手として注目を浴びた。今夏の甲子園出場はかなわなかったが、9月に行われた18UW杯日本代表に選出。キューバ戦では左翼へ高校通算39本目の1発を放った。「むちゃくちゃ速い投手からしっかり打てたことは自信になりました」と木製バットへの対応も苦にしなかった。

 打撃だけでなく、走塁と守備も一級品だ。中学時代はシニアリーグで野球をしながら陸上部に所属。100メートルは自己最速11秒4で、中学3年時に茨城県大会2位に入るほどだった。また今夏は投手不足のため投打二刀流にも挑戦。わずか1カ月の練習にもかかわらず、公式戦でいきなり146キロを記録するなど肩の強さも披露した。「巨人坂本選手や(ブルージェイズ)川崎選手みたいに、打って、守って、走れるショートになりたい。目標は3割、30本、30盗塁です」と、3拍子そろった選手を目指す。

 12球団OKの姿勢だ。「もし指名されたら『プロになりました』って周平さんにメールします」。憧れの先輩への答えを用意して、運命の日を待つ。【島根純】

 ◆渡辺諒(わたなべ・りょう)1995年(平7)4月30日、茨城・土浦市生まれ。小学1年の時、軟式の土浦サニーズで三塁手として野球を始める。同4年から硬式の竜ケ崎リトルに所属し、中学2年の3月に竜ケ崎シニアの遊撃手として全国選抜大会出場。東海大甲府では1年夏に4番一塁でレギュラー。同年秋から遊撃手に戻り、今夏は主将も務めた。好きな歌手はGReeeeN。家族は両親と兄2人。178センチ、80キロ。50メートル6秒1、遠投105メートル。右投げ右打ち。B型。