「K-1 WGP 2015 THE CHAMPIONSHIP」(21日、東京・代々木第2体育館、日刊スポーツ新聞社後援)の60キロタイトルマッチで、王者・卜部功也に挑む兄・卜部弘嵩が11日、東京・町田のK-1 GYM DRAGONで公開練習を行った。

 宿命のタイトルマッチが目前に迫り「今週いっぱいまで追い込み練習をして、来週から減量に入って、疲れもとっていく」と弘嵩。今回はタイトルマッチというだけでなく、実弟・功也との一騎打ちという特別な試合となったが「練習はいつもと変わらない。違うことといえば、いつもはこのくらいの時期にピリピリしていたけれど、今回はそういうことなく平常心をキープできている」と気持ちがたかぶることはないという。

 その理由は充実した練習ができているからにほかならない。10月9日に2人同席会見が行われた直後、弘嵩はタイに渡って名門シッソーンピーノンジムで2週間の合宿を敢行。今年2度目のムエタイ修行では、現地のトレーナーに功也の試合映像を見てもらい、入念に対策を練ってきた。

 そして、タイ修業ではこれ以上ないスパーリングパートナーの存在もあった。同ジムに所属する70キロの世界的強豪シッティチャイだ。功也と同じサウスポースタイルのシッティチャイは弘嵩と同時期に試合を控えており、「自然にシッティチャイとスパーリングすることが多かった。シッティチャイの対戦相手がちょうど僕と同じくらいの背格好だったので、ずっと2人でガチガチにスパーリングした」。

 公開練習ではジャブ、右ストレート、右アッパー、左フックを見せただけにとどまったが、それは「今回は蹴りが武器になると思うんで、あえて公開練習では見せたくなかった」から。「チャンピオンは今回の試合がすごく怖いはず。僕が対戦相手だから。功也が一番自分の怖さを知っていると思う」と充実の表情を浮かべた。

 「タイに行く前はかなりピリピリしていたし、試合のことばかり考えていたけど、今はもう平常心を保てている。スカイツリーイベントでニアミスしたけど、それも気にならなかった」と今は己を磨くことだけに集中している。

 しかし、1月の60キロ初代王座決定トーナメント決勝で功也に敗れた悔しさは忘れてはいない。あくまで「まだ感情的になる必要はない」という弘嵩。「平常心をキープしておけば、試合の短い時間により集中することができる。今、感情を抑えている方が試合になった時に爆発できる」と試合当日までさまざまな思いを胸に秘める。

 「今までは体力や技ばかりに目がいっていたけど、今回は心が鍛えられた。K-1のベルトは取らなきゃいけないし、僕は取れると思っているんで、あとはそれをどう見せるか」。弘嵩は静かに闘志を燃やし、21日にそのすべてをぶつけるつもりだ。

 その他の対戦カードなど問い合わせは、実行委員会=03・6450・5470、http:www.k-1wg.comへ。