子役陣のみずみずしい奮闘が話題のNHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」。2話でのヒロインおとわ(新井美羽=10)のせりふです。いいなずけの亀之丞が親の不始末で逃亡の身となる中、幼なじみの鶴丸との縁談が決まってしまう展開。「亀は何もしていないのに井伊を追われ、帰ってくるつもりになのに、われが鶴とめおとになっていては亀がかわいそうではないか」。快活で聡明で気丈な姫さまだけに、万策尽きてわんわん泣く幼い恋心に胸を打たれました。

 主人公、井伊直虎の運命を決定づける大きな出来事が幼少期にあるため、4話まで子役陣が務める大河初の試みが注目を集めています。新井美羽ちゃんが演じるおとわを中心に、亀之丞(藤本哉汰=13)、鶴丸(小林颯=11)の3人が素晴らしい見ごたえで、それぞれのキャラクターに心躍り、過酷な運命に胸をつかまれっぱなし。ピュアな子供の世界が、親たちの血なまぐさい現実ときちんと地続きになっている脚本家森下佳子氏の物語を生き生きと見せてくれて、制作統括の岡本幸江チーフプロデューサーが「オーディションの時点でほろっときた」と語っていたのも納得です。

 「おとわ」はネット上でも急上昇ワードに躍り出て、視聴者からも愛される姫さまぶり。今川家の事情聴取に「竜宮小僧」で言い訳する機転や、とんでもない視点から突破口を見つけるしぶとさなど、後の女城主の力量が痛快です。おとわと亀之丞の悲恋、おとわに身分違いの恋心を秘める鶴丸という三角関係も大きな見どころ。ネット上も「亀の涙が美しくて…」「恋心を秘めた鶴がふびんで」と、早くも亀派、鶴派でにぎわっています。彼らが柴咲コウ、三浦春馬、高橋一生に引き継がれるのかと思うと胸アツです。

 次回は、おとわが今川の人質に。またまた過酷で、子役大河から目が離せません。

【梅田恵子】(B面★梅ちゃんねる/ニッカンスポーツ・コム芸能記者コラム)