60年代人気グループ、ザ・タイガースが27日、東京ドームで復活ツアー最終公演を行った。71年に解散したが、今月3日から沢田研二(65)らオリジナルメンバー5人で再結成全国ツアーを開始。この日は、脱退した加橋かつみ(65)に代わり69年に加入した岸部四郎(64)がサプライズ登場した。新旧メンバー全6人がステージでそろったのは初めて。

 開演から約30分。四郎が車椅子で登場した。沢田が「岸部四郎もタイガースの1人です!」と紹介すると、4万5000人の観客から大拍手がわき起こった。四郎は03年に脳出血を患いその後、大腿(だいたい)骨を折りリハビリのため介護施設で生活。この日のため用意された曲がビートルズ「YESTERDAY」。四郎が「イエスタディ~」と歌うと客席は静まり、聞き入った。あちこちからすすり泣きが漏れた。

 手のひらには「トラブル」と書かれたナゾの文字も。歌唱後は「ホントはもう少し上手なんですけど、今はこれが精いっぱいです」。ジョーク交じりのあいさつに、ベースの兄岸部一徳(66)が「兄弟でステージに立てるなんて奇跡です」。ステージから下がる際はドラムス瞳みのる(67)が車椅子を押した。

 68年に日本人アーティストとして初のスタジアムコンサートを行ったのが、ドーム前身の後楽園球場。タイガースはこの日、45年ぶりに“同じ地”に立った。「12月27日という記念日が新たにできました」。ギター森本太郎(67)が宣言したように、数々の伝説を残してきたタイガースにこの夜、新たな歴史が刻まれた。【松本久】