“左”のスペシャリストが新天地で燃えている。札幌は沖縄1次合宿4日目の19日、午前中にペース走、午後からは対人練習で攻守の切り替えなどを確認した。神戸から新加入のDF田中雄大(28)は、ペース走で持ち前のスタミナを発揮した。昨季まで川崎Fから神戸まで5クラブを渡り歩いてきた。北海道に骨をうずめる覚悟で臨む。

 文字を書くのも、箸を持つのも、オール左利き。左のスペシャリスト、田中は「走れる部分と左足のキックを見て欲しい」と、21日の初実戦で力をアピールするつもりだ。

 昨季、左サイドハーフとして33試合に出場したDF堀米が新潟に移籍。不安視されていた左サイドに、運動量豊富な待望のレフティーがやって来た。田中は水戸時代の15年、J2トップのクロスを上げた。札幌でも「成功率をもっと上げて、精度の高いクロスを蹴りたい」と、攻撃の起点となる鮮やかなサイドチェンジに意欲を見せる。

 昨季FKで3得点を決めたDF福森とは川崎Fの同期入団だ。入団会見では「札幌には福森選手がいるが、自分もキッカーとして頑張りたい」と決意を口にした。「あいつはカーブをかけるけど、オレのはバンと飛ぶ感じ。同じ左利きでも、違ってくる。(ライバルというより)一緒にピッチに立てたらいい」と、共闘を思い描く。

 「セクシーフットボール」で一世を風靡(ふうび)した野洲(滋賀)で、全国優勝してから12年。5クラブを渡り歩き、6つ目となった札幌に入団の際には「これが最後の移籍となるよう頑張りたい」と、骨をうずめる覚悟を口にした。「練習中もワイワイやりたいタイプ」というムードメーカーだが、道民の「笑いのポイント」のほうは、まだ手探り状態という。「少しずつ、出して行けたら」。生粋の関西人が、北海道に勝利と笑顔を届ける。【中島宙恵】

 ◆田中雄大(たなか・ゆうだい)1988年(昭63)8月8日、滋賀県野洲市生まれ。野洲高2年のときに全国高校選手権で、滋賀県勢初の全国優勝。関大では2~4年時に全日本大学選抜入りした。11年に川崎F入り。同年8月24日名古屋戦でJデビューした。その後、栃木、鳥取、水戸、神戸でプレーした。身長169センチ、体重68キロ。血液型O。