ロンドン五輪の卓球女子団体で銀メダルを獲得し、10月中旬に開幕する中国スーパーリーグへの挑戦を表明していた石川佳純(19=全農)が、今季の同リーグ参戦を断念したことが21日、分かった。尖閣諸島の領有権をめぐる日中間の対立が激化し、その余波を受けてしまった。16年リオデジャネイロ五輪に向けて中国を拠点に生活し、レベルアップを図ろうとした強化方針が、いきなり修正を余儀なくされることとなった。

 石川は今月11日に、自身の合宿とこの日開幕したW杯(中国・黄石市)に向けて北京へ出発。同時に、打診を受けたいくつかのチームから1つにしぼって交渉し、W杯前には同リーグの所属チームが決定する予定だった。だが、最終交渉の前に反日デモが激化。日中間も緊迫した関係が続き、中国協会から日本協会へ「安全を確保するのが困難な状況にある」と連絡が入ったため、W杯出場を断念して20日に帰国していた。

 今後について話し合いを持ったこの日、参戦への意欲は示すも、同リーグではコーチの母久美さんと離れて1人で行動し、生活する予定だったこともあり、安全面も考慮して泣く泣く諦めた。当初は、北京五輪でシンガポール女子代表監督を務めるなど同国を強豪に押し上げた劉国棟氏の指導を受け、中国を拠点に生活してリオ五輪を目指す考えだったが、それらは白紙となってしまった。今後はプロツアーや日本リーグ、来年1月の全日本選手権に向けて調整していくという。