【第38回】
診断基準は異性への同一感、同性への不快感
性同一性障害(1)
「小さい時からお人形遊びが好きで女の子と遊ぶ方が楽しかった。女性になりたい私はおかしいですか?」と相談にくる青年、「自分はずっと男だと思っていたので、子どものころはピンクの服が苦痛だった。乳房を取りペニスをつける手術をしたい」と訴える女子高生…。「一人ひとりの性を大切にして生きる」(少年写真新聞社)の著者である精神科医の針間克己氏(性同一性障害研究会理事)は、体の性と心の性が一致しない性同一性障害の数少ない専門家として、この問題に取り組んできた。
「子ども時代の漠然とした性に対する違和感が、初潮や精通の開始などで強くなり、受診する人も多いですね。でも思春期の診断を確定するのは容易ではありません」と針間医師。というのもこの時期の性別への違和感の中には、生理痛がつらいので女性でいることが嫌、男性的で攻撃的な競争社会になじめない、あるいは恋愛の対象が同性であるなど、いわゆる疾患とは別の理由で、性を含めて今の自分を肯定できないでいる若者も少なくないからだ。
このため、医学的な疾患名である性同一性障害の診断は慎重に行われている。診断基準を簡単な言葉で説明すると以下の4つ。<1>反対の性に対するずっと続く同一感がある<2>自分の性に対するずっと続く不快感、またはその性の役割について不適切な感情を持っている<3>性染色体の異常がない∧4∨この障害が本人にひどい苦痛や社会的、職業的、他の重要な領域に不都合な状態を与えている。
精神科医などのカウンセリングで、この4条件が満たされると性同一性障害と診断される。そして、本人が希望すれば、ホルモン療法や性別適合手術が開始される。「これらの治療により外見や機能が心の性別に近づくことで苦しみが軽くなる人もいますし、体の性別と心の性別が一致しない自分を受け入れるという選択をする人もいます」と針間医師。理解や協力を求めて社会の側の意識を変えるという選択肢や、その両方を行う方法もある。
【ジャーナリスト 月崎時央】
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