【第155回】
検査は内視鏡が基本
食道がん(上)
“食道がん治療は難しい”−専門医のみならず、一般にも広く知れ渡っている。それは、食道がんの特徴がそうさせている。
食道がん治療のトップランナー、東海大学医学部付属病院(神奈川県伊勢原市)外科の幕内博康院長(60)は、その特徴を話す。「第1は、症状が全くない早期がんの段階でリンパ節転移もあり、それも腹部など遠くにがんがとぶ。第2は、通常の検診で見つけにくい。第3は、手術でのリスクも高い。つまり、『転移しやすい』『発見しにくい』『場所が悪い』という特徴があるのです」。
●転移しやすい 胃の粘膜(最も内側の層)がんの転移率が約1〜2%であるのに対し、食道の粘膜がんの転移率は約10%。胃の粘膜下層(粘膜より一層外側)がんの転移率約15%に対し、食道がんのそれは約50%と高い。
●発見しにくい 一般検診の上部消化管エックス線検査では胃がんは見つかっても食道がんは難しい。
●場所が悪い 食道は大動脈、心臓、気管支といった重要臓器や神経に接しているため、リスクの高い大手術になる。また、周囲に浸潤すると手術は不可能になる。
それでも、今日では「人間ドックを年に1度は必ず受ける」といった健康意識の高まりがあってか、症状がない早期がんで発見されるケースが増えてきた。
その食道がんの検査は、内視鏡検査が基本。「ルゴール液を食道粘膜に散布してがん細胞を確認します。正常細胞は茶色に染まりますが、がん細胞は染まりません」。
がん細胞の深さ(深達度)を知るには超音波内視鏡検査を行う。リンパ節や周囲の臓器への転移の有無を調べるにはCT検査が効果的である。が、最近は予想外の遠隔転移を見つけ出すためのPET検査(陽電子放射断層撮影)を行う施設も増えてきた。
このほか、治療戦略を立てるには、従来から用いられてきた食道造影検査、超音波検査、MRI検査が加えられる。
【ジャーナリスト 松井宏夫】
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