【第172回】
発症年齢は50代、60代多い
パーキンソン病(上)
ボクシングの世界ヘビー級チャンピオンだったモハメド・アリが患っている病気として、広く一般に知られるようになったのがパーキンソン病である。
パーキンソン病の治療、研究の第一人者、順天堂大学医学部付属順天堂医院(東京・文京区)脳神経内科の水野美邦教授(64)は、初期症状について次のように話す。「約50%の方は片方の手とか足が震えることで始まります。約30%の方は歩き出すときに足が出にくくなり、残り20%の方は右手か左手のどちらかの動きがぎこちなくなり、細かい動作ができなくなるという症状で始まります」。
そして、進行すると、パーキンソン病の極めて特徴的な4大症状「振戦」「固縮」「動作緩慢」「姿勢保持障害」がそろってくる。
◎振戦は手の震え。その震えも何か物を取ろうとすると止まる特徴がある。
◎固縮は筋肉が固くなってくる状態。医師が患者の手を動かそうとすると歯車のように断続的動きとなる。
◎動作緩慢は、すぐに動き出せず、動き出しても動作はゆっくりになってしまう。
◎姿勢保持障害は、ころびやすいなど姿勢を保つのが難しい状態。
「症状が出そろってきた段階で患者さんを診ますと、表情が乏しい、声が小さい、書く文字も小さいといった症状もあります」。
このような特徴的な症状が出るのは、脳の「黒質」という部分の神経細胞の数が次第に減っていくからである。黒質の神経細胞間の神経伝達はドーパミンという神経伝達物質が行っている。が、神経細胞が減ることでドーパミンも減少する。運動機能をつかさどる「線条体」に黒質からドーパミンが送られているから線条体はスムーズに働くが、それも機能しなくなる。
現在、日本には約12万人のパーキンソン病患者がいると推測されており、発症年齢としては50代、60代に多い。
▼黒質 脳の中心部の脳幹は基本的な生命現象の中核を担っている。その脳幹は間脳、中脳、橋、延髄と並んでおり、黒質は中脳にある。この黒質は線条体を働かせるのにドーパミンを使っている。
【ジャーナリスト 松井宏夫】
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