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V川崎が鹿島を下し、初代Jリーグ王者!

 <チャンピオンシップ:第2戦>◇93年1月16日◇国立
ヴェルディ川崎 0−1
1−0
鹿島アントラーズ

V川崎が鹿島を倒し初代王者に輝いた。左から三浦知良(カズ)、北沢豪、
柱谷哲二、ぺレイラ、武田修宏

カズ同点PK!鹿島の野望を打ち砕く

 日本一で、カズの新年俸2億円突破が確定した。チャンピオンシップ最終戦、カズ(三浦知良=26)が後半37分に同点PKを決め、 1−1の引き分けで、鹿島の野望を砕きヴェルディ川崎に初代日本チャンピオンの座をもたらした。この日本一によって、あす18日の 契約更改交渉に臨むカズに対し、読売グループ首脳も2億円を超える年俸を提示することを決断した。また、初優勝を飾った川崎には、 Jリーグチェアマン杯と賞金1000万円が贈られた。

 カズにまたひとつ、新たな勲章が加わる。世界でも超一流の証明となる2億円の年俸が、日本一と同時にもたらされることになった。 読売グループの首脳がこの日、「(カズの年俸は)2億円を超えるだろう」との見解を明らかにした。Jリーグでたった一人、リーグ戦、 チャンピオンシップと全38試合にフル出場。最後の試合でも、日本チャンピオンを確定させる同点PKを決め、有終の美を飾ってみせた。 「交渉次第だが、これで(優勝を実現したことで)2億円を超えることは間違いない」(本社首脳)と、現在の推定年俸1億2000万円から、 一気倍増の可能性もほのめかした。

 もちろん、ただで転がり込んだものではない。カズは二つの重いプレッシャーを跳ね返した。ひとつは、チームとしてのプレッシャーだった。 弱みを公言したことのないカズが試合後、「いろいろとプレッシャーがあり、本当に苦しい2試合だった」ことを初めて吐露した。

 よく言えば個性派集団、ともすればバラバラになりがちのチームを、キャプテンとしてまとめてきた。若手にも気を使った。9日の試合で 右ひざを故障した中村忠(22)の代役・河本充弘(22)にも、「自分の力を思い切り出し切ればいい」と何度も声をかけた。そして試合では、 鹿島の攻撃を早く封じるために前線でボールを追った。「意識が変わった。かっこいいことばかりじゃダメ」。試合後、肩の荷を下ろしたように 息をついた。

 もうひとつは第1戦で失敗したPKのプレッシャーだった。後半36分、そのPKが回ってくる。前回は、鹿島GK古川昌明(25)に完全に読 まれてしまった。よほど悔しかったのか、PKの練習をし、失敗したビデオを周囲があきれるほど繰り返し見て試合に臨んだ。だが、ボールを 置き、深呼吸をする度に、サントス、そしてジーコの邪魔が入り集中力は乱された。嫌がらせに一瞬、熱くなった。9日の試合後、カズの元に 「川崎は、審判を金で買っている」というジーコの発言が掲載されたブラジルの新聞が届いてもいた。だが、「フェアで最高の試合をしてみせる、 と燃えていた」(父宣雄さん=52)カズは、インサイドキックで、思い切りボールを蹴り込んだ。「最後はコースじゃなくて、力と気持ちだと思って 集中した」。会心のキックをそう振り返った。

 馬場トレーナーは「カズは、何を食べ、何時間眠り、どんなトレーニングをするか、専門家がたじろぐほど勉強していた」と、フル出場の陰の 努力を強調する。大会前から、炭水化物を多く取り、疲労を抜くため睡眠時間を8時間たっぷり取るなど、人に見せない不断の努力も2億円 につながった。

 交渉の代理人でもある宣雄さんは「今月中に交渉は終えたい。カズは、まだうまくなりたいと言っている」と説明する。セリエAからのオファーは、 現在のところまだ来ていないが、日本一、年俸2億円の先にも夢がある。年俸を落としてでも行きたいと願うイタリアに向け、新たな挑戦がまた 始まる。【増島みどり】

(写真=V川崎が鹿島を倒し初代王者に輝いた。左から三浦知良(カズ)、北沢豪、柱谷哲二、ぺレイラ、武田修宏)



 <チャンピオンシップ:第1戦>◇93年1月9日◇国立
ヴェルディ川崎 0−0
2−0
鹿島アントラーズ

カズ1ゴール1アシストで、初代王者に王手

 カズ(三浦知良=26)が、チームの初代王座に王手をかけた。第1戦はヴェルディ川崎が、先制ゴール、2点目をアシストしたカズの活躍で 鹿島を2―0と下し先勝した。昨年末の天皇杯で不敗神話が途切れたカズだが、再び勝負強さを見せつけた。第2戦は16日、国立競技場で 行われるが、1点差で負けても優勝となる川崎が断然、優位に立った。

 二度の失敗を、二蹴りで帳消しにしてしまう。そして終わってみれば大ヒーロー。年が明けても、カズの「おいしい」ところをさらう強運ぶりは、 少しも変わらない。カズが2得点に絡み、川崎が日本一に王手をかけた。

 後半3分、鹿島ゴール前を横切ったボールを何と空振り。しかもここまで、カズのシュート数はゼロ。鳴りを潜めていた後半15分、満を持していた 右足がうなりを上げた。走り込む足元へ「黄金コンビ」と認めるビスマルクからパスが通る。ペナルティーエリア内で切り返すとゴールが視界に入っ た。「強いシュートを打てばだれかに当たったとしても入ると思った」。自信の言葉通り相手DFの足をかすめたボールは、先制点となってゴール中 央に吸い込まれた。

 2度目の失敗は後半29分。武田修宏(26)がもらったPKを外してしまう。だが、それもご愛きょうもの。ゲーム終了直前には「どのみち試合は 終わり。点を狙って左足で巻いて蹴った」(カズ)右CKを、今度はビスマルクの頭にドンピシャリのタイミングで合わせるアシストもマーク。終わって みればこの男の“独り舞台”だった。

 前半27分には、鹿島奥野の背後からのチャージを誘う独走ドリブルで、奥野は退場。キックオフから鹿島に傾いていた流れを変えた。「前が1点 取れば、最後までDFはゼロに抑えてくれると信じていた。いい時間帯に取れたし、2点目も久びさにセットプレーからの点でうれしかったよ」。昨年 末の天皇杯準々決勝対横浜F戦に敗れ「カズV神話」は途切れた。新たな神話がスタートしたわけだ。

 昨年暮れには世界選抜の一員としてACミランと対戦。「日本、アジア、いや世界の代表として頑張る」(カズ)意識が芽生えたのも大きい。そんな カズに、オフのビッグプレゼントが待っている。今月20日から9日間の予定で、米ロサンゼルスへりさ子夫人(25)とともに待望のハネムーンに 出掛ける。

 さらに、2月5日(予定)にはプロデビューしたブラジル・ジャウー市から「栄誉賞」の表彰を受ける。その記念として市内に新しく造営される練習 グラウンド名には「カズ」の文字が入り、正面玄関にはカズの肖像画が描かれたレリーフが飾られることも決まった。

 バラ色のオフを迎えるためにも、16日、日本一の座を取る。「きょうと同じ精神状態で16日もグラウンドに入る。喜ぶのはそれからだ」。 国立競技場を後にするカズの顔に、もう笑みは消えていた。【渡辺佳彦】

日刊スポーツ紙面で振り返るチャンピオンシップ




  • 1993年 ヴェルディ川崎−鹿島アントラーズ
  • 1994年 ヴェルディ川崎−サンフレッチェ広島
  • 1995年 横浜マリノス−ヴェルディ川崎
  • 1996年 鹿島アントラーズ(1シーズン制のため開催なし)
  • 1997年 ジュビロ磐田−鹿島アントラーズ
  • 1998年 鹿島アントラーズ−ジュビロ磐田
  • 1999年 ジュビロ磐田−清水エスパルス
  • 2000年 鹿島アントラーズ−横浜F・マリノス
  • 2001年 鹿島アントラーズ−ジュビロ磐田
  • 2002年 ジュビロ磐田が第1、第2ステージ完全制覇のため開催なし
  • 2003年 横浜F・マリノスが第1、第2ステージ完全制覇のため開催なし

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