速報記事一覧へ スコア速報一覧へ スポーツカレンダーへ

nikkansports.comホームへ

共通ナビゲーションを飛ばす。ページメニューへ
nikkansports.com・ホームへ
釣りページへ 社会ページへ 芸能ページへ 競馬ページへ バトルページへ スポーツページへ サッカーページへ 野球ページへ
ページメニューを飛ばす。コンテンツへ
TV全国番組表

click here!
記事一覧
スコア速報
野球
サッカー
スポーツ
バトル
競馬
芸能
社会
釣り
 

「4年間練り上げてきた金メダル作戦」 鈴木大地 鈴木大地(ソウル五輪男子100メートル背泳ぎ金メダリスト)
1988年9月25日付 紙面
1988年9月25日付
鈴木大地 金
 日本に待望の金メダル第1号が出た。競泳男子百メートル背泳ぎの鈴木大地(21=順大)は、得意のバサロスタート(潜水スタート)を爆発させ、55秒05の日本新記録で優勝した。日本選手が競泳で金メダルを取ったのは1972年、ミュンヘン大会男子百メートル平泳ぎの田口信教、女子百メートルバタフライの青木まゆみ両選手以来、16年ぶりの快挙となった。
(日刊スポーツ1988年9月25日付)

  「ひみつ ! 」。鈴木大地は決勝レースへの作戦を聴かれた時、そう一言だけ口にした。その瞬間、体が震えるのを感じた。鈴木陽二コーチと大地が描いた金メダルプラン。「ついに、あの作戦をやるのか」。表彰台の真ん中に立つ大地の笑顔が頭に浮かんだ。 1988年9月24日、ソウルの蚕室五輪プール。大地は予選を55秒90の3位で通過した。米国のバーコフは54秒51の世界記録を出してトップ通過。大地の持つ日本記録は55秒32。1秒近い大差の逆転は、不可能なようにも思えた。
 決勝レース、大地は今まで25メートルだったバサロスタートを30メートルまで延ばした。バサロとは、水中に潜ったまま仰向けのドルフィンキックだけで進む技術。スピードは出るが、体力を消耗するために長く潜ると後半のロスにつながる。それでも、30メートル潜った。トップのバーコフに体半分遅れてターン。後半で追いつき、タッチの差で優勝した。
すべては大地と鈴木コーチの作戦だった
 「奇跡の金メダル」「大逆転優勝」と、世間には騒がれた。しかし、本当は違った。すべては作戦通りだった。奇跡だったのは、その作戦が、鈴木コーチと大地の予想が、あまりにもピタリと当たったことだ。
 五輪本番を前にした練習で、大地はバサロを繰り返していた。それも、いつもの25メートルではなく、もっと長い距離を。「実はね、バサロを延ばすことを考えているんだ」と教えてくれたのは、鈴木コーチだった。そう言って「金メダル作戦」を明かしてくれた。
 「予選のトップはバーコフだろう。3位以内なら大地にもチャンスがある。バーコフは精神的にもろく、本番に弱い。タイムでは負けても、勝負なら勝てる。バサロを伸ばして逃げ切り型のバーコフにプレッシャーをかける。前半で差がついていなければ、相手は焦る。必ず泳ぎのバランスを崩す。そうすれば、ラスト25メートルあたりで追いつける。あとはポリャンスキーを含めて3人の争い。勝負はタッチの差になる」
ソウル五輪競泳男子100m背泳ぎ決勝で金メダルを獲得し、ガッツポーズを見せる鈴木大地
ソウル五輪競泳男子100m背泳ぎ決勝で金メダルを獲得し、ガッツポーズを見せる鈴木大地=1988年9月24日韓国・ソウル
「狙いは金メダルだよな」
ソウル五輪競泳男子100m背泳ぎ決勝で金メダルを獲得した鈴木大地
ソウル五輪競泳男子100m背泳ぎ決勝で金メダルを獲得した鈴木大地=1988年9月24日韓国・ソウル
 結果は、その言葉通りになった。バーコフを精神的に追いつめるためには、隣のコースで泳がなければならない。競泳は、予選トップが4コース、2位が5コース、3位が3コースと決まっている。だから、予選3位以内が必要だった。予選に弱いと言われていた大地は、しっかりと3位に入った。後は「バサロ延長」を実行するだけだった。
 予選の後、鈴木コーチは「狙っているのは金メダルだよな」と大地に念を押している。その言葉だけで十分だった。何度も何度も繰り返したシミュレーション。「実戦で試したことがない」と話していた30メートル のバサロも、頭の中ではイメージされていた。最後のタッチは手を上からかくのではなく、真っ直ぐにゴール板に突き刺した。これもイメージ通りだった。
 84年のロス五輪に出場してから、4年間で練り上げてきた金メダル作戦。ケガもあった。思うようなタイムが出ない時もあった。その過程では苦難もあったはずだ。しかし、不可能を現実にするために、2人は綿密な計画を立て、最後の大一番で寸分の狂いもなくそれを実行した。
 実は、決勝レース後、原稿を書くのに一切取材はしなかった。締め切り時間が迫っていることもあったが、金メダル原稿を書くためには「ひみつ ! 」の一言で十分だったからだ。
 


【ソウル五輪競泳担当・荻島弘一】


前のページへ戻る このページの先頭へ


ニッカン倶楽部広告ガイド会社案内このサイトについて問い合わせ
  nikkansports.comに掲載の記事・写真・カット等の転載を禁じます。
  すべての著作権は日刊スポーツ新聞社に帰属します。