アンカーは飛鳥。リオデジャネイロ五輪の陸上男子短距離代表合宿が25日、山梨・富士吉田市内で公開された。メダルを狙う400メートルリレーは、日本選手権100メートルを制したケンブリッジ飛鳥(23=ドーム)がアンカーに抜てきされるプランが用意された。08年北京五輪以来2大会ぶりのメダルへ、山県亮太(24)-飯塚翔太(25)-桐生祥秀(20)とつないだバトンを握りゴールに突っ込む。

 アンカーの位置についたケンブリッジが、猛然とコーナーを駆ける3走桐生を見てスタートした。「ハイ!」のかけ声でバトンを受け取り、スピードを上げた。メダル獲得の秘策は「陸上王国」ジャマイカ人の父を持つ日本王者だ。「責任重大ですね。桐生は今まで(バトンを)受けた選手の中で一番速いので思い切って出られる」と笑った。

 この日は2パターンの走順を練習した。1本目は山県-飯塚-桐生-ケンブリッジ、2本目は山県-飯塚-高瀬-桐生。苅部短距離部長は「ケンブリッジはバトンが未知数。ストレスのないところでやらせたい」と4走の理由を説明。バトンをつかんでゴールに飛び込むのは、終盤に強いケンブリッジにうってつけだ。

 過去2年はけがに泣いてリレー合宿参加も、控えだった。だが今年5月に10秒10を記録して快進撃。6月に日本選手権初優勝を飾ったことでアンカーに抜てきされる可能性も出てきた。

 最終的な走順は本番での調子を見て決まる。土江短距離副部長はベテラン藤光も含めた6人について「本番で何かアクシデントが起きても対応できるメンバー」と手応えを口にする。アンカーは「世界最速の男」ボルトと対戦する可能性もある。「楽しいと思いますね」とケンブリッジ。破竹の勢いの23歳が、ゴールを駆け抜ける。【益田一弘】