リオで獲得したメダル数は金12、銀8、銅21の計41個(世界6位)と、前回ロンドンの38個を超えて過去最多を記録した。さらなる飛躍が期待される次回の東京。自国開催で主役となるのは誰なのか?

 4年後の表彰台を狙う「先取りヒーロー・ヒロイン」を探った。【日刊スポーツ取材班】

 日本のスポーツクライミング女子を引っ張る野中生萌(19)のボルダリングは見るものを魅了する。ライバルたちがつかめないホルダー(人工物)を、ダイナミックな動きで攻略する。「私は腕の力で登っていくんじゃなくて、背中の力で体を引っ張り上げるイメージなんです」。難易度の高いホルダーを狙う時、野中の背筋にグッと力が入る。その瞬間、誰しもが息をのんで野中の動きに見入る。

 23歳で東京五輪を迎えるが、19歳の今も世界トップの実力がある。5月のインドでのW杯で初優勝している。15歳で日本代表に入るなど、国際大会の経験も豊富。野中も競技力の向上に意欲的で、自分の体を自在に操ることへの研究心も旺盛だ。

 父達也さん(51)母麻衣子さん(49)のアドバイスもあり、専属トレーナーについて体の動かし方を学んできた。そうした背景があるから、ヨーロッパの強豪選手とも互角に渡り合える。難しいコースを攻略するだけじゃなく、いかに派手に、そして見ている人を楽しませるか。野中が注目される理由はそんなところにもある。東京五輪での金メダルを目指す野中は、今まで通り世界選手権、W杯を通して、常に世界と戦い続ける。【井上真】

 ◆野中生萌(のなか・みほう)1997年(平9)5月21日生まれ、東京都出身。9歳でクライミングに出合い、15歳でリードのW杯日本代表に初選出、16歳でボルダリングW杯初参戦。昨年ボルダリング世界ランク3位。国際大会出場のため日出学園高の通信制に通い、今春卒業。名前の生萌は若葉萌える季節にちなんだ。162センチ、53キロ。家族は両親と姉2人。