五輪4大会連続出場となる世界7位の福原愛(27=ANA)が、悲願の金メダルに挑む。リオデジャネイロ五輪に出場する卓球の男女日本代表は29日、羽田空港から出発。4度目の五輪で初めて女子チーム内で最年長となったキャプテン福原が、世界の頂点と打倒中国を誓った。

 15歳で初出場した04年アテネ五輪。それから12年一回りを経験し、福原はより強く五輪のメダルを意識する。前回のロンドン五輪女子団体で涙の銀メダルを獲得。日本卓球界に初めて、メダルを持ち帰った。「痛感したのは、メダルがあるかないか。こんなに違うんだ」。

 そのロンドンから4年間が、最も苦しい時期だった。ロンドン直後に右ひじを手術。東京開催だった14年世界選手権団体戦は、左中足骨の疲労骨折で欠場した。「皆に迷惑をかけた4年間だった。お世話になった人に感謝し、いい色のメダルを持ち帰りたい」。

 3歳で卓球を始めた福原も27歳になった。今年4月に引退した平野早矢香さんが主将を務めたロンドン五輪当時と同じ年齢になった。その平野さんから、直前のダブルス合宿で「らしくやればいい」とアドバイスをもらった。「平野さんのようにチームを引っ張っていきたい」。

 そこには強い意志がある。まだ卓球はメジャーじゃないと感じている。国民的アイドル“泣き虫”愛ちゃんでさえ、いまだに領収書の宛名で「福田愛」、「杉山愛」と書き間違えられるという。だからこそ「自分がメダルを取って皆さんに喜んでもらえれば」卓球がメジャーになる。

 横には、妹のような23歳の石川佳純、15歳の伊藤美誠がいる。村上女子代表監督が「史上最強チーム」という“猛女”たちだ。連日、選手村の悪環境が伝えられる。しかし、年間15カ国前後を転戦するだけに「水しか出ないシャワーなんてよくある」と笑い飛ばす。その横で「そうそう」とうなずく石川と伊藤を、福原は優しく見守っていた。【吉松忠弘】