<熱血秋田塾・九州キャンプ編/鹿島>

 18年W杯ロシア大会は、この男たちに注目してほしい-。日刊スポーツ評論家の秋田豊氏(44)がこのほど、Jクラブがキャンプを張っている九州を訪問。昨年に続き「熱血秋田塾・九州キャンプ編」と題し、3年半後の夢舞台を狙う若手を直撃、発掘する。第1回は古巣鹿島。アギーレ監督は解任されたが、新監督の下でもMF柴崎岳(22)ら5人が選ばれる可能性がある。そう思い、未来の宝庫へ足を運んだ。

 宮崎、鹿児島はまだ肌寒くもありますが、ロシアを目指す熱い若手がたくさんいます。最初に訪れたのは鹿島。3年半後のW杯に5選手を送り込む可能性があると見ている。アジア杯メンバーだった22歳のMF柴崎とDF昌子、20歳のDF植田だけでなく、トップ下の22歳MF土居と隠し玉の20歳MFカイオを推したい。

 筆頭格は、やはり柴崎です。アジア杯UAE戦(準々決勝)の同点ゴールは鳥肌が立った。本人は「(本田)圭佑さんとイメージを共有できた。でも勝てなくて…」と悔しがっていたけど、レギュラー以上のパフォーマンスを出せる選手だし、定着は確実。さらなる高みを目指してほしい。「代表はJの感覚でやると60分間でバテる。フィジカルコンタクトや運動量が足りない」と冷静に自己分析した上で「ただ、昔は遠くに見えていた代表が、今はすぐそこにある感覚」と言っていた。26歳で迎えるロシアへ着実に進歩している。

 ほかの4人を紹介する前に鹿島の「責務」にも触れたい。代表選手を98年のフランスから4大会連続で輩出。特に02年日韓大会は自分も含め歴代最多6人で、代表イコール鹿島と言っても差し支えないほどだった。だからブラジルの0人はOBとして寂しかった。鹿島から巣立った内田や大迫がいたとはいえ。

 だからこそロシアでは大量選出を。センターバックの昌子と植田はアジア杯で出番がなかったけど、足りない部分が明確になった。昌子は「そこまで能力的な差はない。違うのは外国人ストライカーとの対戦経験」と感じたという。その通りだ。幸い、今季はアジア・チャンピオンズリーグで広州恒大(中国)などと対戦できる。23歳の現役ブラジル代表FWグラルら世界クラスもいるし、肌を合わせて感じ取ってほしい。

 攻撃では、昨季8得点コンビの土居とカイオが割って入る。土居はドリブルだけなら十分に代表レベル。縦に速く、横にかわせるタイプは現代表にいない。カイオは昨季、外国籍選手で初めてベストヤングプレーヤー賞に輝いた。8点は鹿島の高卒新人史上最多。高校NO・1級が集まるクラブだから、その有望が分かる。ブラジル人だけど「選んでもらえるなら帰化したい」と覚悟もある。ブラジル大会は国籍変更選手もゼロ。列強国の血を取り入れるのは世界的な流れだし、決断してほしい。

 W杯まで4年…いや、開幕(18年6月)まで3年半を切った。この1年は、鹿島の若手が代表でも通用する選手になるためのベースになると思う。ACLの長距離移動と過密日程をこなしながら年間優勝を果たせば-。「代表5人」実現の可能性も色濃くなるはずだ。(日刊スポーツ評論家)