J2清水は最終節徳島戦で勝利し、自動昇格圏の2位でJ1復帰を決めました。最終盤はクラブタイ記録の9連勝。85得点と破壊力抜群の攻撃力を武器に昇格レースを走り抜けました。

 就任1年目の小林伸二監督(56)は大分、山形、徳島に続く、史上最多4クラブ目のJ1昇格。名門を1年で立て直した「真の昇格請負人」とは-。21日付の紙面では真面目な原稿を書いたので、今回はちょっと笑えるエピソードを中心に紹介します。

 (1)名前間違え連発 就任当初は選手の名前が覚えきれず、つい指導に熱が入りすぎると、大声で違う名前を叫んでいました。例えば、FW大前元紀を「ダイキ」。MF石毛を「イシカワ」。MF八反田を「ハッタン」。しかも、始動から1カ月が経った2月の鹿児島キャンプでも続きました。間違えられた大前は「今季はダイキに改名します」と苦笑い。さすがに今は間違えませんが…。

 (2)「小林語録」 とにかくおしゃべり好きで普段の囲み取材は30分以上話し続けることも。1年間取材をしてきた私でも理解するのに時間がかかるワードを連発。例えば「ちょいな、ちょいな」。民謡「草津節」ではやし言葉として使われているようですが、小林監督の場合は違います。「軽率なプレー」を指す時によく使います。他にも「際(きわ)の部分」。これは「大事な場面や大事な部分」という意味。実は昇格を決めたインタビューでFW鄭も「際」と発言。選手に浸透しているようです。

 (3)大のお酒好き この事は原稿にも少し触れましたが、身をもって感じました。5月下旬に番記者数人とお酒を飲んだのですが、とにかくハイペース。ビールに始まり、焼酎、日本酒、ハイボールと…。約3時間同じペースで飲み続け、1次会が終了。我々報道陣が帰ろうとすると「次行かなくていいの? ホントにいいの?」。次は最後までお付き合いします!! 

 他にも多くのエピソードがありますが、これ以上は怒られそうなので自粛します。

 とはいえ、名だたる指導者がいる中で最多4度のJ1昇格を果たし、歴史に名を刻みました。サッカーに対して真摯(しんし)に向き合い、普段の練習では一切妥協しない熱血漢。誰にでも気さくに接する人情家でもあります。来季の続投も決定し、J1でもその手腕に期待したいと思います。


 ◆神谷亮磨(かみや・りょうま)1985年(昭60)8月28日、静岡市清水区生まれ。幼稚園からサッカーを始め、高校は東海大静岡翔洋(旧東海大一)でプレー。08年入社。担当は11、12年にJ2磐田、13、14年にアマチュアサッカー、15年から清水。