<高校サッカー:浦和東5-0那覇西>◇31日◇1回戦◇埼玉ス

 6年ぶり5回目の出場となる浦和東(埼玉)のエースFW菊池将太(3年)が、今大会第1号となるハットトリックを決めた。那覇西(沖縄)に完勝。前半はPKを失敗。ハーフタイムには、無言でロッカールームへ引き揚げた。しかし仲間からの言葉に奮起し、後半に爆発。同校OBの日本代表GK川島永嗣(28=リールス)が見守るなか、最高のスタートを切った。

 主将でエースFW菊池が試合後に見せた笑顔には、うれしさと安心した表情が交ざっていた。前半15分、ペナルティーエリア内で相手DFにはさまれて倒され、PKを獲得。絶好の先制チャンス。しかし、右足のグラウンダーは相手GKに完全に読まれていた。

 今季はチームが獲得したPKで、常にキッカーを務めてきた。1度も外したことはなく、自信はあった。それが、打ち砕かれた。「これを決めなかったことで、勝敗にかかわるかもしれない」。自責の念にとらわれたまま、前半は終わった。

 下を向いてたどり着いたロッカールームで、3年間ともに優勝を目指して戦ってきた仲間に肩をたたかれた。「気にしなくていいぞ」「次がある」「将太に点を取らせるぞ」。自然と、再び気合が入った。

 後半1分、MF鄒が先制点を決めた。そして同21分、右からのクロスに頭を合わせてゴール。喜びよりも、「まず1点取れて、ああよかった」とほっとした感情が上回った。

 ここから、エースが本領を発揮する。同28分、32分と立て続けにゴールを奪い、11分間でハットトリックを達成。前半のミスを引きずらず、気持ちを切り替えた。「みんなが声をかけて、僕にボールを集めてくれた。チームがいるから、点が取れる。感謝です」。

 サプライズもあった。試合後、先輩である日本代表GK川島が笑顔で待っていた。「びっくりしました。かっこよすぎます。握手をしてくれました」。「ここで満足しないで、もっと上を目指して頑張れ」と激励を受けた。「今度会ったら、PKのとき(のGK)について聞いてみようかな」と高校生らしい笑顔を見せた。【保坂恭子】