「ミラノ・コネクション」が日本の新たな武器になる。日本代表は8日、国内組を加え、25人全員で横浜市内で合宿を開始。ハリルジャパン初参加の左サイドバック(SB)長友佑都(28=インテルミラノ)が右SB挑戦に意欲を示し、右ウイング本田圭佑(28=ACミラン)との「縦関係」に期待した。同い年で同じイタリアに住む2人。代表では09年の同時初出場から主に対角線で連係してきたが、早ければ11日の国際親善試合イラク戦(日産ス)の右サイドでコンビを組む可能性がある。

 日本の右サイドに「ミラノの風」が吹く。4人1組でパス交換しながら、2人目、3人目が味方を追い越してゴールへ迫る練習。長友は自慢の瞬発力で縦への推進力を示した。左右どちらの動きもスムーズ。左SBから右SBへの転向をハリルホジッチ監督から示唆されている中、両方こなす素養があることを軽快な攻め上がりでアピールした。

 長友が右に回れば、自然と期待は膨らむ。右ウイング本田との縦関係だ。芸術の都に住む2人の「ミラノ・コネクション」。国内組も加わった代表合宿初日を終えた長友は、その可能性に胸を高鳴らせた。「そうなれば初めてですね。(本田)圭佑とは本当にやりやすい。僕の特徴を分かってくれているし、反対に圭佑の能力を生かしてあげる動きをしたい」と前向きだ。

 インテルミラノでは右でもプレーするが、代表では過去2回だけ。10年に先発と試合途中の配置転換が1試合ずつあったが、ともに右の前線にはMF中村がいた。本田との縦関係が実現すれば、初めて同時先発した09年1月28日のアジア杯予選バーレーン戦以来、1度もなかった景色になる。DF内田が負傷離脱中の今こそ試したい事情もある。

 4月のミラノダービー後には、視察に訪れたハリルホジッチ監督と3人で食事した。そこで右SBもできるか確認され「両方いけます」と即答した。本田とも「イタリアで連絡し合ってるし、よく食事もする。考え方も分かってるし、生かしてあげられるんじゃないかな」。気心の知れた同い年は連係も滑らかそうだ。

 ザックジャパンでは左サイドの香川との縦関係が攻撃の突破口となったが、ハリル体制では本田との右が顔になるかもしれない。6日には酒井高と入れ替わって右SBを練習しており、明後日のイラク戦でテストされる可能性も十分だ。しかも同時先発なら代表通算50試合目。節目の右サイドが長友と本田の「ランウエー」になる。【木下淳】

 ◆長友の日本代表での右サイド 右サイドバックとして先発出場したのは、岡田監督時代の10年5月24日の親善試合韓国戦(埼玉)の1試合のみ。1列前の右サイドMFは中村俊が入り、本田はトップ下で先発。試合は0-2で敗れた。試合途中の配置転換は、10年W杯南アフリカ大会1次リーグのオランダ戦で経験。後半27分に左から右に回り攻守に奮闘。このときもまた後半19分から右サイドMFに入った中村俊とコンビを組んだ。本田は1トップで先発。試合は0-1の惜敗だった。

 ◆ランウエー ミラノコレクションなどのファッションショーで、モデルが服を着飾り、デモンストレーションを行う花道のこと