日本代表FW宇佐美貴史(23=G大阪)が名実ともに、魔術師の“右腕”になる。9日の練習を前に行われたチームの集合写真では、バヒド・ハリルホジッチ監督(63)の右隣に据えられた。ロシアW杯での主軸として期待する指揮官の意向を、周囲がくんだものとみられる。歴代の代表でも、監督の右隣には“申し子”が据えられ、その選手は代表でもクラブでも活躍していった。宇佐美も期待に応え、ハリルジャパンでのエースの座を勝ち取る。

 曇天の日産スタジアム。11日の親善試合イラク戦に向けた練習を前に、ハリル体制初の集合写真撮影が行われた。中央の指揮官は、ジャージーの胸にスポンサーロゴを張ろうとするスタッフに「いっそ私の額に貼ったらどうか」とおどけてみせた。その右横で宇佐美がほほ笑む。監督の右。そこは歴代代表でも「申し子」たちの定位置だった。

 アギーレ体制ではFW武藤。ザック体制ではMF香川。これまでも、代表監督が将来の柱として期待し、抜てきした選手が、体制初期の写真撮影で右隣に座ってきた。みな日本代表のスポンサーであるアディダス社と契約する選手という側面もあるが、その後代表で、クラブで結果を出したのは間違いない。そして香川しかり、ジーコ・ジャパンのMF三都主アレサンドロしかり、日本をW杯に導き、本大会でも主軸としてチームを引っ張った。

 ハリルには宇佐美。現役時代は屈指のストライカーだった、ハリルホジッチ監督らしい人選ともみえた。いかにディテールにこだわるとはいえ、集合写真の位置取りまでは指示しない。しかし常々、周囲には「宇佐美は日本の宝。世界で活躍できるように育てたいし、ロシアW杯ではエースとして活躍してもらう」と期待ぶりを明かしていた。こうした監督の意向をくんで、協会スタッフが右隣を準備したものとみられる。

 オシム監督の右隣に座ったMF今野は複数ポジションをこなし、攻守に走り回るスタイルで、オシムサッカーの象徴的な存在だった。宇佐美にも、前線からの守備や縦に速い攻撃を重んじる、ハリルサッカーを体現する役割も求められる。

 笑顔で写真に納まる横顔は、年始に比べてだいぶスリムになったように見える。体脂肪率を抑えてほしいというハリルホジッチ監督の要望に、目に見える形で応えている。監督の右腕として、まずは直近のイラク戦、そして16日のW杯予選初戦シンガポール戦で結果を出す。【塩畑大輔】