アルゼンチン遠征中のU-19(19歳以下)日本代表に飛び級で初選出されたFW久保建英(たけふさ、15=東京U-18)が、東京五輪世代デビューした。同国U-19代表との国際親善試合に後半15分から初出場。1-2で敗れたが、久保のドリブル突破を起点にMF原輝騎(18=千葉・市船橋)にゴールが生まれた。日本は7日(日本時間8日)にも同じカードで国際親善試合を行う。

 バルセロナ下部組織出身の久保が、バルセロナのエース、メッシの母国で東京五輪への第1歩を踏み出した。試合後、スペイン語で「メッシのプレースタイルと似ている。比較されてどうか」と聞かれると、スペイン語で返答した。「メッシのような偉大な選手と比較されるのは嫌です。でも、練習を続けて、いつかメッシのようになりたいです」。落ち着いた表情で堂々としていた。

 2点ビハインドの後半15分に途中出場した。FW和田に代わって2トップの一角に送り込まれると、5分後に得点に絡んだ。前線でプレスをかけてボールを奪い、ドリブル開始。ペナルティーエリアに入る前でDFに阻まれたが、こぼれ球を拾った原が右足で蹴り込んだ。2日前の練習試合後に「アルゼンチン戦は積極的にチャンスに絡み、勝利に貢献したい」と話した通り、積極的なプレーで得点の起点となった。

 97~00年生まれの東京五輪世代の中で、唯一、21世紀(01年)に生まれた中学3年生は気後れしなかった。ボールを持てば、すぐ目線を上げて仕掛けるスペースを探し、球際では手をかけてでも止めようとした。日本協会が公表した試合リポートには「久保選手と遠藤選手を投入すると徐々にボールが前線で収まり始め、シュートチャンスがつくれるようになります」「後半15分すぎ(久保の投入時間)から自分たちのリズムで試合を進められるようになりました」と記された。19歳以下とはいえ、相手はA代表のFIFAランクが1位のアルゼンチン。敗れはしたが、通用した。

 所属の東京ではU-15からU-18に飛び級。夏のクラブユース選手権で得点王(5戦5発)に輝き、秋のJユース杯では決勝戦でVアシストして2冠に貢献した。高校に続き、プロ1年目も含めたエリートが集うU-19代表でも結果を出してしまう。「アルゼンチンの選手はフィジカルがとても強かったので体をもっと鍛えて、空中戦などで戦えるようになりたいと思いました」。底が知れない15歳の久保と日本の未来は明るい、と言うほかない。

 ◆U-19代表の今後 アルゼンチン遠征で年内の活動は終了。来年は、5月に韓国6都市で行われるU-20W杯に出場する。5大会ぶりの世界舞台へ月1、2回の短期合宿を予定。同W杯が終わると、7月に第3回U-23アジア選手権(開催地未定)予選が始まる。飛び級の久保は、同10月にインドで開催されるU-17W杯にも出場する可能性が高い。18年8月はジャカルタでアジア大会。その後、東京五輪予選を兼ねる第4回U-23選手権を迎える。日本は開催国枠で五輪出場権を持つが、チーム力を向上させる目的で参加予定。