日本代表なでしこジャパンが、五輪2次予選突破へ大勝発進した。

インド相手に“新戦力”が台頭。代表2戦目のMF中嶋淑乃(24=広島)が初得点を含む2ゴール2アシスト。計6人がゴールを奪う7-0に貢献した。もう1試合は、本田美登里監督が率いる地元ウズベキスタン(50位)がベトナム(34位)に1-0で競り勝った。日本は29日の第2戦でウズベキスタンと対戦。各組1位と2位のうち最上位の1チームが24年2月の最終予選に進む。

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なでしこジャパンに追加招集された中嶋がチャンスをものにした。3バックで戦った今夏女子W杯とは違う「4-3-3」の新陣形で、故障のドリブラー藤野あおばに代わり先発に抜てきされ、左ウイングで躍動した。前半17分、左サイドでMF長谷川からパスを受け、思い切りのいい左足ミドルを突き刺す。「得点でチームに貢献したかった。すごくうれしい」。先制弾を喜ぶだけで終わらない。1-0の後半1分には守屋の右クロスに飛び込み、右足で2点目を押し込んだ。

出国前に行われた国内組中心の直前千葉合宿で「物おじすることなく強気に自分の特徴を出していけたら」と燃えていた通り、インドの守備網を「広島の三笘」と称されるドリブルで破り、左クロスを供給。FW清家のチーム6点目とMF猶本の同7点目を導き、アシストも2つマークした。

東海大熊本星翔高からオルカ鴨川入り。20年、なでしこ2部の得点王に輝き、最上位WEリーグの広島へ移った。“B代表”で臨んだ杭州アジア大会(中国)では2連覇に貢献。決勝の北朝鮮戦でも先制し、帰国直後に出場したWEリーグ杯決勝では創設3年目のクラブに優勝杯をもたらす。急成長に、全く予期していなかった“フルのA代表”へ追加招集が舞い込んだ。

まだ国際Aマッチ2試合目だが、存在感は日に日に増している。前半は1得点と苦しんだが、後半わずか11分間で4得点を奪った攻撃陣を、間違いなく刺激した。パリ五輪でW杯8強を上回るべく、突破は当然、新戦力の発掘が求められる2次予選。「なでしこの三笘」へ。24歳の新星がW杯メンバーに割って入った。

◆中嶋淑乃(なかしま・よしの)1999年(平11)7月27日、熊本市生まれ。小学校3年の時に兄の影響で始める。当時なでしこリーグ2部のオルカ鴨川で20年に11ゴールで得点王。21年に広島へ完全移籍して11番を背負う。昨季は最上位WEリーグで20試合1得点。22年7月、東アジアE-1選手権に臨むA代表に初選出され、同月22日台湾戦でデビューした。子供のころ憧れていた選手はFWメッシ。161センチ、48キロ。