なでしこジャパンが、国内外で新たな歴史を築いた。W杯優勝の偉業を達成したサッカー女子代表が19日、凱旋(がいせん)帰国した。

 佐々木則夫監督(53)は、ロンドン五輪アジア最終予選(9月1~11日)でターンオーバー制を採用する考えを明かした。11日間で5試合という過密日程を乗り越えて、五輪出場の切符を獲得するための対策。「日程が厳しいこともあるので、主力とか主力じゃないとかは関係ないチームを作っていきたい。ベースは変えないが、状況を見てどのポジションでも変えられるようにしていきたい」と意気込みを話した。

 ターンオーバー制への準備は既に始まっていた。監督はドイツW杯中も、試合翌日の練習ではサブメンバーを注視していた。そして選手起用はズバリと当たった。準々決勝では途中出場のFW丸山が延長戦で値千金のゴール。準決勝スウェーデン戦では、大会初先発のFW川澄が2得点を挙げた。

 ベスト4だった北京五輪での教訓を生かす。「北京ではサブ組から活躍する選手がいなかった。だからその後、継続して全員を見ている」。同じ失敗は、繰り返さない。

 プレーの細部にも磨きをかける。監督の目指すバルセロナサッカーの細かなパス回しに欠かせない、パススピード。ロングパスの精度。ヘディングのタイミング。「ヘディングは小さくてもタイミングがよければ戦える。細かいプレーの精度を上げていく」。世界の頂点の座を守り続けるためには、貪欲な姿勢が重要になる。この対策が成功したとき、なでしこはさらに力強く咲く。【保坂恭子】