シンジとケイスケは俺が生かす!

 日本代表は親善試合UAE戦から一夜明けた7日、新潟市内で地元チームと練習試合を行った。試合に出なかったメンバーを中心に構成され、右足首痛で欠場したDF長友佑都(25=インテルミラノ)が復帰した。不調に終わったチームをベンチから見守り、FW香川とMF本田の生かし方を確認。11日のW杯アジア最終予選イラク戦(埼玉)の出場を宣言し、代表に戻ってくる。

 左サイドバックの長友が、果敢に味方を追い越した。炎天下での40分間。右足首を痛め、今合宿で別メニューが続いた長友が、息を吹き返したように戻ってきた。17分、カウンターからドリブル。20分にはFW原口とのワンツーから右ミドルを放ち、その3分後には宝刀・左クロスをあげていた。「休んでいたのは2、3日。ゲーム感覚は問題ない。試合(イラク戦)に出る準備をする」。ここに復活を宣言した。

 豊富な運動量でタイミングよく一気に駆け上がる。それこそ身をもって、今の日本の打開策を演じていた。「UAE戦はちょっと運動量、連動がいつもより少なかった(本田)圭佑、(香川)真司を追い越す動き。これがチームの生命線になる」。左サイドを組む香川を追い抜いて相手に混乱を招き、生まれたスペースを本田と香川が使う。相手守備網に小さなズレをつくることで、効果的な攻撃を仕掛ける。それができなかったUAE戦だった。

 長友がチームの起爆剤といっても過言ではない。しかしサッカーの神様と言われる男は、既に見抜いている。「両サイドの選手はとてもいい選手だ。相当警戒しないと、いいクロスを次々と送られてしまう」と、イラクを率いるジーコ監督は警戒。それでも長友は「警戒されるというのは光栄なこと。期待に応えたい」と、しっかりと言い返した。

 コンディションのばらつき、出場停止選手、けが人と不安要素はある。だから今、インテルミラノの主将・DFサネッティから言われた言葉が脳裏をよぎる。「ネガティブな要素は一切いらない。すべて捨てて頭をポジティブに埋め尽くせば疲労はたまらない。すべてうまくいく」。だからこそ言った。「勝てる自信がある。勝利しか考えていない」。頭の中は勝つことに、埋め尽くされている。【栗田成芳】