強行出場よりベストな選手を-。日本代表のハビエル・アギーレ監督(55)が、徹底的にベストコンディションの選手を優先する意向を示した。日本協会幹部が14日、明かした。主力で故障を抱える選手を無理して起用するより、基本的にベストの選手を起用する方針。ザッケローニ監督時代は主力の強行出場に頼ったことがあったが、アギーレジャパンは100%戦える戦力をピッチに送り出す。

 わずかな故障も見逃さない。ベストコンディションの選手を使う。100%戦えるチームをつくりたいからこそのこだわりだ。指揮官の意向を聞いた日本協会幹部は「アギーレ監督は基本的に、故障を抱える選手を無理して使うなら、ベストの若手を使うことになるだろう」と明言した。

 メキシコ代表時代も、同様だった。10年W杯南アフリカ大会で、マンチェスターU移籍が決まっていた伸び盛りのFWエルナンデスを先発から外し、非難された。ただ、この時もエルナンデスのコンディションが万全の状態ではなかったという判断があった。

 ザッケローニ体制の時は、W杯ブラジル大会で故障から完全に復調していない数選手を起用。13年2月の親善試合ラトビア戦では体調不良で万全ではないDF内田を起用し、12年12月に負った右太もも肉離れを再発させたこともあった。全ては結果論だが「強行出場=再発」の悪循環はクラブの不信感にもつながる。

 この日、来日したモラス・フィジカルコーチが選手の体調について常に鋭い目を光らすことになる。「プロフェッソール(スペイン語で教授の意)」という異名を持ち、アギーレ監督と10年以上もともに仕事をしている。指揮官の信頼も絶大で、エルナンデスの控え降格の判断にも助言を送ったとされる。

 欧州とメキシコは空路で約12時間。日本と欧州と同じ距離だけに、アギーレ監督、モラス・フィジカルコーチともに長距離移動後の海外組の調整にも慣れている。「どんな相手だろうと全力で戦う」という新監督の哲学を全うするためにも、アギーレジャパンは厳しい体調管理を強いられる。