<国際親善試合:日本6-0ホンジュラス>◇14日◇豊田ス

 日本代表に5カ月ぶりに復帰したMF遠藤保仁(34=G大阪)が、アギーレジャパンでの確かな1歩を刻んだ。前半44分にFW本田の横パスから、代表通算14得点目となるミドル弾を決めた。前半9分に吉田、後半2分に乾の得点を演出。W杯ブラジル大会後初の代表で、3ゴールに絡んだ。来年1月9日開幕のアジア杯はもちろん、目標にする38歳での18年W杯ロシア大会出場へ、欠かせない存在であることを証明した。

 慣れ親しんだ場所に、遠藤が戻ってきた。真冬のように冷え込んだピッチ中央に、背番号7が立つ。自身の持つ記録を更新する国際Aマッチ最多の147試合目は、W杯後初の代表戦だった。34歳の再スタートの日。前半44分に本田からの横パスを受けると、迷わず右足でミドルシュートを放った。次の瞬間、最高の笑みがこぼれる。復帰戦で即、ゴールを奪った。

 「相手のマークがズレて、フリーになったので僕は(シュートを)振り抜くだけ。いいゴールだったかなと思う。もう少し低い弾道で、より(枠の)ギリギリを狙ったんですけどね。ゴールはゴール。勝負を決める3点目を決められたことが、良かったです」

 日本が奪った6点のうち3点に絡んだ。前半9分には得意の正確なCKから吉田の先制弾を演出。後半2分にも遠藤の縦パスが本田に渡り、乾のゴールが生まれた。W杯以来4カ月半ぶりの代表。MF柴崎ら若手が出現しても、存在感と仕事ぶりは別格だった。

 大きな力を得て、代表に合流した。所属のG大阪で臨んだ8日のナビスコ杯決勝広島戦(埼玉)後のこと。今季初タイトルをつかみ、夜の飛行機で大阪に戻った。クラブハウスに着いたのは午後9時すぎ。街灯がほとんどない暗闇の中から響く、たくさんの声が聞こえた。

 隣接するグラウンドで練習していた小学生約50人が花道を作って待っていた。「代表でも頑張ってください!」。その言葉を聞くと、遠藤は車の窓を開けて何度も手を振った。

 枯れることのない夢がある。自身4度目となる18年W杯ロシア大会出場だ。今年6月のブラジル大会では、3試合中2試合に途中出場しただけ。悔しさとともに、このままでは終われないという思いが、胸に残った。

 「アギーレさんになってから、僕はまだ1試合しか出ていない。まだまだアピールする立場。持っているものをすべて出さないと、これから生き残れない」

 38歳で迎えるW杯へ。遠藤は、4年後に向けて歩み出した。【益子浩一】