【ニューカッスル(オーストラリア)10日】MF遠藤保仁(34=G大阪)がカズ超えに挑む。日本代表は初戦のパレスチナ戦に向け全公開で練習を行った。前日までに紅白戦や戦術練習を行ったため、軽めの調整だったが遠藤は居残りでFKの感触をチェックした。過去、アジア杯の最年長ゴールは96年12月に29歳9カ月で決めたカズ。30代の日本選手は過去ゴールはなく、遠藤が決めれば大きく記録を更新する。

 サッカーバレーが終わると遠藤は、ゴール前へ向かった。はしゃぎながら続ける仲間に、笑みをこぼしながらゴール正面に立った。壁に見立てた人形を前にして約20メートルの距離からFKを5本ほど蹴り終了すると、芝生に寝ころんだ。

 体幹トレーニングを行いながら本田や吉田のFK練習を眺め、イメージを膨らませた。「順調にきているし、自然とモチベーションは高まるでしょ。前回大会もそうだけど、手探りのまま始まる。今回もすべてが完璧とはいかないはず。ただ、そういう試合をやりながら自信をつけるから、長くできるもの」。楽勝のまま優勝できるはずがないことは分かっている。接戦が続いたとしても将来の糧になる。

 34歳11カ月でのゴールはアジア杯の日本選手史上最年長となる。これまでの記録はカズが持つ29歳9カ月。96年12月のウズベキスタン戦で決めたもの。30代でのゴールも過去にはなく、もし決めればキングの記録を大きく上回る。他にも出場すれば最多となる18試合、04年大会から連続4大会などの記録がかかるが、チームの成績に直結するのは、何よりもゴールだ。

 「見ている人は、やっぱり強いチームを見たいはず。内容まで伴うのは難しいかもしれないけど、勝つ代表が見せられれば」。代表に復帰した昨年11月のホンジュラス戦でミドルシュートをたたき込み、今月4日と5日の練習試合でもミドルとPKで2日連続のゴール。得点力を増して、代表に戻ってきた感さえある。

 準決勝が終わった翌日の28日には35歳になる。数々の記録を前にしても冷静な代表のレジェンドが、連覇への口火を切る。【高橋悟史】