【バンコク11日=広重竜太郎】DF新井場徹(28)が鹿島の新しい得点源になる。ACL開幕戦となる12日のクルンタイバンク戦に向けて11日、最終調整を行った。セットプレー練習では左サイドバック(SB)の新井場がゴール前の攻撃に参加。8日の札幌戦で2得点を挙げた得点力が買われ、新オプションとして試された。代表で右SBに定着中のDF内田から「日本一のSB」と目標にされる男が、アジア制覇へのゴールをこじ開ける。

 突然の指名だった。総仕上げの攻撃時のセットプレー練習。カウンターに備えて後方で待機していたDF新井場がオリベイラ監督から前線へ呼ばれた。187センチのDF岩政、180センチのDF大岩が出場停止だった札幌戦は「背の高い順に」と緊急措置で攻撃に加わった。だが2人が復帰する一戦はこれまでなら守備を担うところ。それでも札幌戦でCKからのヘッド弾を含め2得点を挙げた182センチの新井場を生かさない手はなかった。

 「(攻撃参加は)結果が出たからでしょう。こういう(高温多湿の)気候だとセットプレーが大事」と受け止めた。セットプレー時にはゴール前を固めてくることが予想されるクルンタイバンクは、札幌戦と同じシチュエーションだ。指揮官は「チームが成熟、成長する一環だ。新井場は(札幌戦で)相手の11人がペナルティーエリア内にいる中で点を取った。それは武器になる」と新たなオプションに加えたことを認めた。

 波はあるが、好調時は代表クラスの力を持つ。加地、三都主ら岡田ジャパンの左SB候補が故障続出で色気が出てきてもおかしくない状況も、新井場は「まぁ、ええじゃないですか」とけむに巻く。

 だが誰よりも強く「推薦」するのは代表の右SBに定着したDF内田。「サイドバックとして日本一だと思う。落ち着いてるし、ボールを奪われないイメージ。オレはあの人を目標にやる。2点取ったからじゃない(笑い)。代表に入ったら?

 定位置(確保)でしょう」と力強い推薦の言葉を残した。

 ノリに乗っているが頭の中は冷静だ。「勝負は(サイドを)何往復できるか。ペース配分を考えないといけない」。30度以上の灼熱(しゃくねつ)アウェー戦で戦う準備は整った。新井場がアジアの勝利への道を切り開く。