神戸が劇的に今季初勝利を挙げた。引き分けかと思われた後半ロスタイム。FWペドロ・ジュニオールが突破し、1度は相手DFに阻まれたこぼれ球を、途中出場のFW小川慶治朗(22)が左足でたたき込んだ。前節まで最下位。苦しんだネルシーニョ体制にリーグ初白星を運んできたのは、先発落ちから発奮した22歳だった。

 「いつ出してくれるのかなと思って、ちょこちょこ監督の方を見ていました。今日は出ないのかな、とも感じていた。5分でも(出番を)もらえたら点を取れると思っていました」

 日本代表に復帰したG大阪宇佐美と同世代。高校(神戸ユース)時代から注目を浴びても一切、てんぐになることはない。この日は豪雨と雷のため前半33分に試合が中断。23分間の中断期間中も、ロッカー室前でひたすら体を動かしながら出番を待った。チームの中心として期待される若きエース候補の目標は、もちろんハリルジャパン入りだ。

 「クラブで活躍していたら必ずいける。まずは神戸で結果を出し続けたい」

 敵地広島での勝利は99年4月24日の第1ステージ以来、16年ぶり。ネルシーニョ監督は「何度か押し込まれる時間はあったが、全体的にはよく出来ていた」と評価。DF岩波も「こういう試合ができれば上が見えてくる」。小川の今季初ゴールで14位に浮上。神戸の快進撃は、ここから始まる。【益子浩一】

 ◆小川慶治朗(おがわ・けいじろう)1992年(平4)7月14日、兵庫県生まれ。宇佐美らとともに09年U-17W杯日本代表に入った逸材で、神戸ユース時代にクラブ史上初めて2種登録選手としてトップ登録。J1通算85試合17得点。170センチ、65キロ。