よく走る横浜がホームで仙台と引き分けた。前節までの4試合でチーム走行距離は計471・32キロ。J1の18チームで最長だった。この試合では113・34キロ。過去4試合の1試合平均を下回ったが、開幕から5試合で新幹線なら東京を出発し新神戸の手前まで到達する584・66キロを走破。5試合を消化しJ1最長の座をキープした。

 確かな走力を武器に戦っている。ただ、この日は後半に入り選手間の距離感が悪くなった。走力を組織的な強みにすることができず、終了間際のDFファビオの得点でドローに持ち込むのが精いっぱい。動きに精彩を欠いたFWアデミウソンは「全員で最後まで走りきった結果」と言ったが物足りなかった。

 チーム一の走行距離を誇るMF兵藤が戦術的理由で後半途中に交代した。62分しかプレーしなかったのも響いた。救いは、勝ち点1でわずかに前進したこと。いずれにせよ横浜の走りは一級品だ。クラブ関係者は「よく走るのは当然です」とユニホームの胸を指さす。そこには「NISSAN」の文字-。幾多の名車を生んできた走りの遺伝子がチームにも息づいているようだ。【八反誠】