川崎FのFW大久保嘉人(32)が、FWカズ(三浦知良、J2横浜FC)と肩を並べた。ホーム甲府戦の前半38分、MF中村のパスを受け、先制点を決めた。J1通算139点とし、歴代4位のカズに並んだ。記録を超えた時に踊る予定のカズダンスはお預け。次節29日のホーム柏戦に持ち越しとなった。川崎Fは今季初完封で勝利し、ホーム通算100勝目を飾った。

 決める男は、いつでも決める。前半38分、ゴール前にいた大久保は、ペナルティーエリア内で倒されたFW小林を見ていた。「PKかな」と集中力は切れていた。しかし村上主審の笛は鳴らず、こぼれ球を拾ったMF中村から足元にきたボールを、反射的に左足でトラップ。右足のシュートは左ポストに当たり、そのままゴールへ入った。

 直後、フィールド全選手が集まったが「(記録を)超えたら」と説明。カズダンスは踊らなかった。試合後の場内インタビューでは「今日、カズダンスが見られると思っていた人もいると思いますが、次にじらしたいと思います。次、カズダンスを踊れるように頑張ります!」と宣言した。

 尊敬するFWと並び、そして超える。20代の頃から親交のある先輩。「憧れの選手。並べるとは思っていなかった。今後にもつながる」と話した。試合の前々日、動画投稿サイト「ユーチューブ」で、90年代のダンスをチェックした際、当時の今と変わらない容姿に驚いた。「カズさんは今も若いよね」。自身も「40歳まではやりたい」と、長い現役生活を思い描いており、刺激を受けた。

 国見高から01年にプロ入りしてから積み重ねてきた数字は、これからも伸ばしていく。「サッカー人生は長いから、いけるところまでいきたい」と笑顔で話した。

 カズダンスは鏡を見て練習を繰り返しており、最後の決めポーズまでばっちりだという。「1試合で1点は取りたい」という言葉に当てはめれば、カズ超えは次節のホーム柏戦になる。中村も「まだまだ取ってくれると思う」と話す通り、チームメートやサポーターの期待も高まる一方だ。次こそ、ピッチでカズダンスを披露して主役になる。【保坂恭子】