堅守で勝ち点3をもぎ取った。J2札幌は、3試合ぶりの白星をつかんだ。前半32分にFW都倉賢(28)がPKで先制し、残り58分を手堅く守りきった。13試合ぶり出場のGK金山隼樹(27)を中心に、守備陣が安定したプレーを披露。今季6度目の無失点で、敵地での今季不敗も3月8日開幕栃木戦から10試合に伸ばした。勝ち点は31となり、4位に浮上した。

 師弟コンビで、ピンチを乗り切った。1-0リードの前半44分、GK金山が、岐阜MFロドリゴのオーバーヘッドシュートに右手を伸ばすも、わずかに届かず、ボールはゴールへと流れていった。「横に(河合)竜二さんがいたのが見えた。必ずカバーしてくれると思った」。金山の右に詰めていた主将のDF河合が、ゴールラインぎりぎりでボールを蹴りだし、失点を目前で食い止めた。

 「金山が久々に先発した試合。どうしても無失点で終わらせたかった」と河合。成長株のクがU-22韓国代表の欧州遠征で欠場していた。次戦から出場可能で、金山には、この1試合が正守護神奪還へのアピールチャンスだった。練習後は他の選手が帰った後も、そろって最後まで残り、何時間もケアをしながら語り合う。そんな弟分の復権機会に、アニキが体を張った。

 人気者「カナ」を中心に、チームが1つになった。8日のオフには河合が金山の27歳の誕生会を開いて激励。河合以外にも、内村や、まだ復帰後出場がない小野、薗田、負傷離脱中の荒野もプレゼントを贈り、祝福した。勝利の瞬間には、3カ月ぶり出場の石井が駆け寄ってハイタッチ。若いクの成長もチームにとって大事だが、苦しんできたムードメーカーの気持ちを、みんなが知っていた。出場3戦目にして今季初白星をつかんだ背番号1は「涙が出そうになった」と上を向いた。

 バルバリッチ監督は「誰か1人を中心としたチームはつくっていない。誰が出ても高いクオリティーを出せるようにしなければいけない」という。GKクの代わりに金山、DF櫛引の出場停止を受けパウロンが復帰。前貴の負傷を受け右MFに弟の前寛が入ったが、チーム力が落ちることはなかった。「DF陣が体を張ってくれたおかげ」と金山。勝利を重ねるにつれ、守備力も結束力も堅固さを増してきた。【永野高輔】