第1ステージ優勝の浦和が、第2ステージも好スタートを切った。アウェーで松本と対戦し、MF武藤雄樹(26)の先制ヘッドなどで勝利した。6バックでマンマーク守備を徹底する、松本の反町監督の奇策も、序盤のうちに早々に攻略。後半のピンチも、体を張った守備で何とか最少失点でしのぎ、今季開幕からの無敗記録も18に伸ばした。

 「浦和対策」対策なら、もはやお手のものだ。前半12分。チーム得点王のMF武藤が、DF森脇の右クロスをゴール至近距離から頭で押し込んだ。6バック、マンマーク徹底で守る松本をあざ笑うかのように、森脇もフリー、武藤もフリーで決めた。

 奇策は読めた。試合直前。発表された松本の先発を見た司令塔のMF柏木陽介(27)は、FWオビナのベンチ温存から「極端に守りを固めて、後半勝負やろうな」と反町采配を予想した。

 案の定、松本は攻撃時に2-3-5のような形になる浦和に対し、前線5枚、中盤3枚にすべてマンマークをつけた。さらにスイーパーのように、DFライン後方にDF安藤まで配置。ペトロビッチ監督をして「ほぼ8バック」と言わしめる極端な布陣を敷いた。

 やはりそう来たか。柏木は試合が始まると、自分へのマークを引き連れて、後方に下がった。そして攻撃時に最終ラインに入るMF阿部、DF那須の2人に「入れ替わりにドリブルで上がって」と手招きした。

 フリーの阿部、那須が上がることで、マンマークと数的優位で守る松本の守備網は崩れた。さらに、自陣に戻った柏木が相手のカウンター攻撃に備えているため、後方に不安を覚えずに攻められた。先制点の場面。阿部がドリブルで上がった分、右サイドで森脇がフリーになった。もくろみが外れ、混乱を来した松本の最終ラインは、さらにゴール前の武藤までフリーにしてしまった。

 「1点取ってからはリスクはかけないようにした。向こうは0-0で、後半の勝負どころまでいきたかったと思う。そのもくろみを早めに崩せたのが大きかった」と柏木。後半開始直後、今度はボランチの位置から敵陣深くに攻め上がり、右からの折り返しで興梠の追加点を演出した。

 6バック戦術をあきらめ、オビナを投入してロングボールで攻めだした松本に、チームは終盤苦戦を強いられた。それだけに、早々に相手の奇策を打ち破り、2点のリードを得ていたことが最後にモノをいった。

 試合前日。ペトロビッチ監督は、松本が3日連続の非公開練習で秘策を練っていることについて、こう言及していた。「明日、私が驚くとすれば、今日の試合はボールを2つ使いますと言われた時くらいだと思いますよ」。言葉どおり、サプライズをサプライズにさせなかった。知将のワナをかいくぐった浦和が、ステージ連覇へ上々のスタートを切った。【塩畑大輔】

 ▼J1連続試合不敗記録 浦和が第2ステージ開幕戦に勝利し、第1ステージ開幕から13勝5分けの18戦負けなし。18戦連続不敗はJ1歴代単独2位で、12~13年の大宮がマークした21戦連続(13勝8分け)のJ1記録にあと3試合。不敗期間中の大宮は21試合で36得点の1試合平均得点は1・71点だったが、今季の浦和は18試合で41得点の1試合平均2・28点と攻撃力が光る。