仙台大がJFL前期優勝のヴァンラーレ八戸を破り、2回戦進出を決めた。後半ロスタイムにDF山田満夫(21)が劇的ゴール。宮城県予選決勝のソニー仙台に続いて、格上のJFL上位チームを破る殊勲の星を挙げた。仙台大は9月6日の2回戦(ユアテックスタジアム仙台)でJ1仙台と対戦する。

 後半終了間際だった。仙台大が相手のスキを突いて攻め上がった。山田がパスをつなぎ、最後は左足で蹴り入れた。イレブンは跳び上がり、抱き合った。ほどなく試合終了。全員で歓声を上げながら、再び抱き合った。10年ぶりの本大会で劇的勝利の初戦突破だ。

 吉井秀邦監督(42)は「うちが勝つとすれば1-0か0-0でPK勝ち。その意味では思い描いた通りだが、内容は苦しかった」と振り返った。前半は八戸に圧力をかけられた。八戸には仙台大OBのDF菅井拓也(24)MF慎也(同)の双子の兄弟、MF李沢忍治(27)がおり、「うれしかったが苦しめられた」と苦笑いだ。

 山田は「ゴールを取りたい気持ちが強かった。落ち着いてパスをつなげながら、行けるなという気がした」と会心の表情。帯広北高(北海道)から1年間、松本山雅FCに所属。昨春仙台大に入学した。「仙台大の名を全国に広めたい。自分自身は将来プロで活躍したい」と上昇志向だ。

 10年前の3回戦で敗れたJ1仙台と対戦の目標は実現した。吉井監督は「ソニー仙台も八戸も自分たちより強く、それをわかって戦った結果。ベガルタ戦も同じように戦う。でも今の勢いは大事にしたい」と快進撃の手応えを強調した。【北村宏平】