J2札幌の来季J1昇格はならなかった。水戸に逆転負けで、1試合を残し、プレーオフ(PO)進出の可能性が消えた。クラブは来季に向けて動き出しており、強化費は今季の5・1億円から約1億円増の6億円台に増額する方針。資金獲得に向けた大型契約が近日中に決定する。残留が決まっているMF小野伸二、稲本潤一(ともに36)ら軸となるベテラン勢と新戦力を融合させ、来季の巻き返しへと向かう。

 悔しい終戦を無駄にはしない。勝てば最終戦への望みをつなげたはずの水戸戦は、無念の逆転負け。7月途中に就任し、崖っぷちから2連勝と粘った四方田修平監督(42)は「目標を達成できず非常に残念。申し訳ない」と厳しい表情で振り返った。

 巻き返しに最も大事なのは主力メンバーの残留と、新戦力を獲得するための資金源だ。雪辱の16年に向け、クラブでは野々村芳和社長(43)を中心に、既に東京に本社を構える大手企業と、大型契約の交渉を進めている。複数年で数億円のサポートを受けるというもので、細部の詰めの段階。近日中に正式に決まる。

 この日、試合を視察した野々村芳和社長(43)は「まだまだ力が足りないということ。クラブとしてもっと大きくなっていかないと、勝負できるようにならない」と言った。来季は強力なパートナー企業の後押しを受け、強化費を今季5・1億から1億増額の6億円台まで上げ、クラブとしての進化を図る。

 軸のメンバーも残留する。MF小野は昨夏から3年契約を結んでおり、稲本も2年契約の2年目となる。ともに複数年契約通り、来季も札幌でプレーすることが決まっている。元代表コンビだけでなく、主将の河合、内村を加えた軸となるベテラン4選手と、東南アジア枠のイルファンの残留が確定。ここに、増額される1億円の強化費を使って新戦力を加え、確実にJ1を狙う集団にレベルアップさせる。